研究課題/領域番号 |
26305025
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高村 昇 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (30295068)
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研究分担者 |
松田 尚樹 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (00304973)
林田 直美 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (00420638)
柴田 義貞 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 客員研究員 (40010954)
中島 正洋 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50284683)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | チェルノブイリ / 甲状腺 / 内部被ばく / 福島 |
研究実績の概要 |
1986年に発生したチェルノブイリ原子力発電所の事故後、周辺3カ国(図1)において小児甲状腺がんが激増したことはよく知られている。2011年に発災した福島第一原子力発電所事故では、チェルノブイリ原子力発電所事故と同様、放射性ヨウ素と放射性セシウムが大気中に放出され、住民の内部被ばくリスクが懸念された。福島県民の中には放射線被ばくによる健康被害に対する不安が根強く存在しており、これにどのように向き合うかが、復興に向けた大きな課題となっている。今後甲状腺がんに加え、同様に放射性ヨウ素の内部被ばくに関連して甲状腺良性疾患に対する懸念が、社会的に大きくクローズアップされることが予想される。そこで本申請では、特に良性甲状腺疾患に焦点をあて、チェルノブイリ周辺で我々がこれまでフィールド研究を長年にわたって行ってきたウクライナ・ジトミール州における臨床疫学研究を推進することで、福島の今後を見据えた、内部被ばくによる健康影響の解明を目指している。 本年度は、ウクライナ・ジトミール州において事故当時0歳から5歳であった男女300名と、性をマッチングさせた事故後生まれた男女300名をそれぞれグループ1、グループ2としてデータ収集し、あわせて超音波検査、生化学検査、および甲状腺自己抗体頻度を比較した。性、年齢で調整した検討を行ったところ、両群において甲状腺自己抗体頻度、さらには甲状腺機能、超音波所見に有意な違いは観察されなかった。チェルノブイリ原子力発電所事故から30年が経過したが、現時点で住民において事故による内部被ばくによる甲状腺良性疾患の増加は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに上記のように初期の目標であった、甲状腺良性疾患に関する疫学調査を完了し、得られた知見を英文論文にまとめ、専門誌に掲載することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、さらにチェルノブイリ事故から30年が経過した現在における住民の内部被ばくに関連する要因についての解析を進めるほか、乳腺疾患についての疫学研究について、関係機関と協議を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初ウクライナにおいて予定していた研究打ち合わせが平成28年度初頭に延期となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の早期の段階で、研究代表者、分担者がウクライナを訪問し、今年度以降の研究の進め方について協議を行う予定である。
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