研究課題
血液凝固制御因子の遺伝子多型に基づくアジア人固有の遺伝性血栓性素因の国際学術調査と予防治療法開発を目的とした。Protein S遺伝子多型(protein S Tokushima, p.Lys196Glu)の変異アレル保有者を日本人健常者の2.2%、静脈血栓塞栓症(VTE)患者の4.2%に同定したが、ハンガリー、韓国、シンガポールの健常者、VTE患者には同定しなかった。Protein C遺伝子多型では、韓国、日本の健常者の1.4%、1.7%、VTE患者の4.2%、5.9%にPROC c.574_576delの変異アレル保有者を同定した。シンガポールでは、PROC c.574_576del の変異アレル保有者をVTE患者の7.2%、PROC c.565C>Tの変異アレル保有者を健常者の2.7%、VTE患者の20.5%に同定したが、殆どが中国系およびマレー系であった。一方、ハンガリー人にはいずれのprotein C遺伝子多型も同定しなかった。したがって、これらの血液凝固制御因子の遺伝子多型はアジア人固有であるが、民族によって頻度と病因としての重要性が異なることが明らかになった。ブラジル人については検体送付が2017年12月末となり、現在解析中である。日本人女性の解析から血中protein S濃度が血中protein CおよびApoCⅡ濃度と強く正に関連すること、株化ヒト肝細胞を用いた解析からprotein S、protein C、ApoCⅡの遺伝子発現がglucose濃度低下によって抑制されることを見出し、糖質・脂質代謝が血液凝固制御因子の血中濃度を制御している可能性が示唆された。また、血中protein S比活性測定系がDOAC(直接経口抗凝固薬)の影響を受けないことを確認し、休薬などの処置を伴わずに易血栓症状態を正確に測定することができることを証明した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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