研究課題/領域番号 |
26305031
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
成相 直 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00228090)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | もやもや病 / 全エクソーム解析 / RNF213遺伝子 / 脳循環時間 |
研究実績の概要 |
本研究年度中に2回の日中研究者間での討論会を行った。1回目は7月にベルリンで開催された国際もやもや病会議の際にそれぞれのテーマにおいて発表を行った際に行った。2回目は2月に成相が北京を訪問し共同機関である人民解放軍脳血管センターにおいてもやもや病脳循環計測に関してのレクチャーを行うとともに、現時点での両機関における遺伝子変異解析の進行状況と今後の方針に関して相談した。 脳循環計測の標準化においてはこのようは講義や日常での交流において両機関でる循環時間計測を主眼としてのデーター蓄積を行う事が開始された。 遺伝子変異解析に関しては前年度に立てた方針に基づき、当機関では取得された患者サンプルに対し既報告の関連遺伝子であるRNF213遺伝子領域R4810K多型のgenotypingを行ない同変異陰性の検体についてはRNF213遺伝子全coding領域の解析を行なっている。さらにRNF213遺伝子全coding領域にも有意な変異が見られないサンプルと、臨床的に貴重なサンプルに関しては全遺伝子領域を対象とした全エクソーム解析を行なった。 中国での対象は人民軍307医院脳血管中心が多数治療している同国のもやもや病患者であり、年間350-400例の新規患者を対象として同施設のバイオリソースセンターに集積されたDNAからの全エクソーム解析を行っている。 この結果、それぞれの機関で有望な新規遺伝子変異を複数が同定出来ておりそれぞれが論文投稿中であることを確認した。 ただし、それぞれの国での他施設との共同研究関係から論文出版までは具体的な変位の開示と付き合わせが出来ない状況になっている。出版後にいち早くそれぞれの新規変位に対し相互の検証することを次年度の目標としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的の一つであった脳循環計測の標準化に関しては訪問しての講演と指導を基に脳循環時間計測データーを基に標準化していくことが可能となった。 もう一方の主眼である遺伝子変異解析に関しては、両国の機関でそれぞれに既報告の関連遺伝子であるRNF213遺伝子領域R4810K多型以外の新規変異に関して全エクソーム領域を対象に検索を進めるという当初の方針のもとにそれぞれの機関で新規変異を発見し論文投稿するに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針は多数の患者サンプルの全エクソーム領域の解析を用いて得られた新規変異遺伝子を両国のサンプルから再検証することで民族差を超えて発現する病院遺伝子に関しての検討を進める予定である。 ただし前述のようなそれぞれの機関の共同研究者間の関係から論文採択をまってその段階で情報開示と交流を再開することとなっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
日中交流のための旅費として日中医学協会の交流資金を充てることができたためその分の余裕が生じた。また、中国の共同研究者を招聘しての研究会の開催も計画していたが渡航制限(海外出張は年一回との制限)があるため本年度の招聘が出来なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
一方で、エクソーム解析にかかる費用が徐々に増加しているためそれに対しての支出は今後も増加するので本研究費のみではなく他の追加研究費の取得も必要となっている。
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