研究課題
本研究では、噛みタバコの習慣にて白板症~口腔癌の多発する東南アジアをフィールドとして、この習慣に暴露されている口腔粘膜から『擦過標本』を経時的に採取・分析し、噛みタバコが口腔粘膜のDNAメチル化異常に及ぼす影響と病変発症との関連を明らかとすることを目的としている。このために、DNAメチル化異常を種々の病態と比較検証し、病態に応じたメチル化異常の変化の検討を行っている。しかしながら、噛みタバコ習慣者の口腔粘膜メチル化異常の頻度 (pre-premalignantの検証)、白板症および周囲健常部におけるメチル化異常の頻度 (premalignantの検証)、ヒト口腔癌および周囲健常部におけるメチル化異常の頻度 (field cancerizationの検証)に於いては、その頻度・程度とも低いと推定され(がん病変に比べ)、DNAメチル化異常を種々の病態と比較検証し明確な関連性を示す・解析するためには、擦過標本における母集団の規模拡大が必須と考え、継続的な検体採取と集積した検体の解析のための整理作業を行っている(尚、これまでに研究のカギとなる擦過標本でのDNAメチル化異常検出の信頼度向上に向けた検討を行い、擦過標本から得られた結果と組織標本から得られた結果の相関性(擦過標本の信頼性)が確認され、解析方法・手法もほぼ確立している)。したがって、最終年度の取り纏めにて成果を得るために、規模・母集団の拡充のみが必須と考え、質の高い標本の集積に努力を傾注している。また、解析は最終年度に集中して行うことを予定している。
2: おおむね順調に進展している
平成28年度は、研究のカギとなる擦過標本と組織標本の信頼度向上に向けた検討を国内例(自験例)にて行って来た。また、海外での検体集積は、各国の医師・研究者によって行うことを基本としているため、共同研究者の元に留学している海外院生の育成に努め、長期・継続的な活動を可能とする体制を整えることを行って来た。この結果、擦過標本と組織標本の相関性(擦過標本の信頼性)が確認された。以上のことより、本研究の遂行に当たっては海外標本数の集積(母集団の拡大)が最も重要となり、この目的達成のために標本の集積に努めているが、総合的にみて進捗状況としては概ね達成されているからやや遅れているの間に位置すると考えており、最終年度の取り纏めを見据えて一層の努力を傾注し進展を図りたいと考えている。
H28年度に引き続き、長期継続的な活動を可能とする体制作りのため海外研究者の育成に努力を注ぐと伴に、H29年度は共同研究者共々、現地に赴き集積作業の促進を図ることとしている。特に、本研究では、噛みタバコの習慣者で病変の無い者、白板症症例、癌病変例を主たる対象として、研究期間を最長の5年とし継続によるサンプリング規模の拡充を行ない、口腔癌で高率に検出しているp16INKA4、MGMT遺伝子プロモーター領域のメチル化異常をTargetに、噛みタバコ習慣者の口腔粘膜メチル化異常の頻度 (pre-premalignantの検証)、白板症および周囲健常部におけるメチル化異常の頻度(pre malignantの検証)、ヒト口腔癌および周囲健常部におけるメチル化異常の頻度 (field cancerizationの検証)を調査し、「ヒト口腔癌発症過程に於けるメチル化異常の意義」の解明を目指しており、検体の長期的・継続的なかつ幅の広い検体の集積が重要となっている研究であり、ここ数年は地道な努力が必要と考えている。これに沿って、H29年度の計画実施を図る予定である。
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Med Mol Morphol.
巻: - ページ: -
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