超高齢社会に向けたサクセスフルエイジングモデルの再構築への挑戦

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26310104
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 権藤 恭之 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (40250196)
• 研究分担者: 新井 康通 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20255467) ; 石崎 達郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (30246045) ; 池邉 一典 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (70273696) ; 神出 計 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80393239) ; 片桐 恵子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (80591742)
• 研究期間 (年度): 2014-07-18 – 2017-03-31
• キーワード: サクセスフルエイジング / 超高齢者 / 縦断研究

研究実績の概要

本研究は、プロジェクト①新たなサクセスフルエイジングモデルの構築。プロジェクト②高齢者パネルに対する追加調査および追跡調査。プロジェクト③追跡調査の結果を用いたモデルの検証。以上３つのプロジェクトから構成される。調査コホートは、70歳±１コホート、80歳±１コホート、90歳±１コホートの3コホートである。
プロジェクト①に関しては、3つのコホートのデータを対象に、従来のサクセスフルエイジングモデルに基づいた分析を行い、70歳では9%、80歳では4%がサクセスフルと分類できた。また、基準値を緩くした場合は、それぞれ26%、17%であった。これは、予想よりも低いレベルであり、従来の基準が適切でないことを示唆していた。
プロジェクト②に関しては、90歳コホートの追跡調査と、第１波調査では詳細な分析を行うためには不十分であった90歳コホートの参加者を増やすことを目的に、新たに90歳±１コホートを立ち上げ調査を実施した。その結果、総計580名の90歳の参加者を得ることが出来た。分析に十分な参加者を確保することが出来たので、来年度は、プロジェクト①の3コホートの比較を行うことが可能となる。
プロジェクト③に関しては、70歳コホートにおいて、第1波調査時において、身体的側面である血圧のコントロールが認知機能の経年変化に影響することなど、サクセスフルエイジングに継時的に影響する要因の検証を行った。また、社会経済学的指標や心理的な要因が幸福感や認知機能の経年変化に与える影響について分析可能なデータベースを整備している。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、90歳高齢者の追跡調査として93歳の高齢者の調査と、第一波調査の時に十分に参加者が確保できなかったので（272名）、90歳高齢者を対象に新規にリクルートを行った。90歳の会場調査における追跡調査参加者は76名（30%）であったが、新規に321名の参加を得ることが出来90歳に関しても詳細な分析が可能な人数を確保できたため。

今後の研究の推進方策

今年度の調査において、3つの年齢コホートの第1波のデータ収集が終わったことから、年齢コホートごとのサクセスフルエイジング達成者の割合および、新しいサクセスフルエイジングモデルの構築に向かった分析を進める。また、縦断的な調査が完了した70歳、80歳コホートにおいては、サクセスフルエイジングを達成する要因の継時的分析も進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度調査に対する参加者が予定より少なかったため、調査結果入力、調査員の人件費等当初よりも経費が掛からなかった。

次年度使用額の使用計画

今年度は、調査を2回に分割する予定であり、調査回数が増える。そのため本年度繰り越した予算は、本年度の調査で全学執行する予定である。

研究成果

• [国際共同研究] University of Lausanne(Switzerland)
  • 国名: スイス
  • 外国機関名: University of Lausanne
• [国際共同研究] Fordham University(米国)
  • 国名: 米国
  • 外国機関名: Fordham University
• [国際共同研究] Heidelberg University(Germany)
  • 国名: ドイツ
  • 外国機関名: Heidelberg University
• [雑誌論文] Association of personality traits with oral health-related quality of life independently of objective oral health status: a study of community-dwelling elderly Japanese. (2015)
  • 著者名/発表者名: Takeshita, H., Ikebe, K., Kagawa, R., Okada, T., Gondo, Y., Nakagawa, T., Ishioka, Y., Inomata, C., Tada, S., Matsuda, K., Kurushima, Y., Enoki, K., Kamide, K., Masui, Y., Takahashi, R., Arai, Y., and Maeda, Y.
  • 雑誌名: Journal of Dentistry. 巻: 43 ページ: 342-349
  • DOI: 10.1016/j.jdent.2014.12.011.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Lower Protein Intake Mediates Association Between Lower Occlusal Force and Slower Walking Speed: From the Septuagenarians, Octogenarians, Nonagenarians Investigation with Centenarians Study. (2015)
  • 著者名/発表者名: Okada, T., Ikebe, K., Kagawa, R., Inomata, C., Takeshita, H., Gondo, Y., Ishioka, Y., Okubo, H., Kamide, K., Masui, Y., Takahashi, R., Arai, Y., Thomson, W.M., and Maeda, Y.
  • 雑誌名: Journal of American Geriatric Society 巻: 63 ページ: 2382-2387
  • DOI: 10.1111/jgs.13784
  • 査読あり
• [雑誌論文] 仕事の複雑性と高齢期の記憶および推論能力との関連. (2015)
  • 著者名/発表者名: 石岡良子, 権藤恭之, 増井幸恵, 中川威, 田渕恵, 小川まどか, 神出計, 池邉一典, 新井康通, 石崎達郎, 髙橋龍太郎
  • 雑誌名: 心理学研究 巻: 86 ページ: 219-229
  • DOI: doi.org/10.4992/jjpsy.86.14007
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Disease-associated polymorphisms in 9p21 are not associated with extreme longevity. (2015)
  • 著者名/発表者名: Congrains, A., Kamide, K., Hirose, N., Arai, Y., Oguro, R., Nakama, C., Imaizumi, Y., Kawai, T., Kusunoki, H., Yamamoto, H., Onishi-Takeya, M., Takeya, Y., Yamamoto, K., Sugimoto, K., Akasaka, H., Saitoh, S., Miura, T., Awata, N., Kato, N., Katsuya, T., Ikebe, K., Gondo, Y., and Rakugi, H.
  • 雑誌名: Geriatrics & Gerontology International. 巻: 15 ページ: 797-803
  • DOI: 10.1111/ggi.12346.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] Developing a new successful model for super-aging society: The example of Japan. (2016)
  • 著者名/発表者名: Gondo, Y.
  • 学会等名: Swiss Society of Gerontology
  • 発表場所: Fribourg, Switzerland
  • 年月日: 2016-01-27 – 2016-01-29
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Overview about Japanese centenarian studies. (2015)
  • 著者名/発表者名: Gondo Y.
  • 学会等名: International Centenarian Consortium meeting
  • 発表場所: Cagliari, Italy
  • 年月日: 2015-06-18 – 2015-06-20
  • 国際学会
• [学会発表] Findings from a large cohort epidemiologic study focus on the oldest old the SONIC study. (2015)
  • 著者名/発表者名: Gondo, Y., Ishizaki, T., Arai, Y., Masui, Y., Ikebe, K., Kamide, K.
  • 学会等名: 第57回日本老年医学会学術集会
  • 発表場所: パシフィコ横浜（神奈川県・横浜市）
  • 年月日: 2015-06-13 – 2015-06-14
  • 招待講演
• [図書] アンチエイジング医学の基礎と臨床 (2015)
  • 著者名/発表者名: 権藤恭之
  • 総ページ数: 447
  • 出版者: メジカルビュー社
• [備考] 健康長寿研究ＳＯＮＩＣ
  • URL: SONIC-study.jp