研究実績の概要 |
本研究は、超高齢社会における多様な高齢者像の視点に立った「ネオ・ジェロントロジー」における問題点である「加齢の個人差の物差し」として、「遺伝子年齢」を一つの尺度として用いることの意義を明らかにすることを最大の目的である。具体的には、これまでの研究成果である世界初のテロメア長の自動測定機を用いて「末梢血リンパ球テロメア長」を測定し「遺伝子年齢」を算出し、多様な高齢者像の相違を解析する上での「加齢の個人差」の尺度として有用であることを明らかにする。これらの目的を達成するために、本研究で2000人を超えるデータの取得する実績である。本年度は、健常人1032人の「末梢血リンパ球テロメア長」を測定し「遺伝子年齢」を算出し、遺伝子年齢としての物差しのデータベースの充実ができた。さらに、染色体の安定性の指標となるテロメア最末端の1本鎖のテロメアGテール長も同時測定し、染色体に対するストレスを評価した。本年度は、健常人1032名についてテロメア長およびGテール長を測定し、遺伝子年齢及びテロメアに対するストレス度合いを測定した。また、大脳白質病変、動脈硬化などの血管の機能についても検討し、疾患群で顕著にGテール長が短く疾患のリスクが極めて高くなっていることを見いだし報告した(BioMedicine 2, 960,8211;967 (2015)).
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
世界初のテロメア長の自動測定機を用いて,健常人1032人の「末梢血リンパ球テロメア長」を測定し「遺伝子年齢」を算出し、遺伝子年齢としての物差しのデータベースの充実が予定通り行われている。また、疾患との関係では、大脳白質病変、動脈硬化などの血管の機能とテロメアGテール長の短縮が起こっていることが明らかにできた(Tomohisa Nezu, Naohisa Hosomi, Tetsuya Takahashi, Kumiko Anno, Shiro Aoki, Akira Shimamoto, Hirofumi Maruyama, Tomonori Hayashi, Masayasu Matsumoto, Hidetoshi Tahara. Telomere G-tail length is a promising biomarker related to white matter lesions and endothelial dysfunction in patients with cardiovascular risk: a cross-sectional study. EBioMedicine 2, 960,8211;967 (2015).)
|