研究課題
超高齢社会が進展し平均寿命が延伸している今日、高齢者が健康で活き活きと幸福感と尊厳をもって生活できる社会の創出が問われている。本研究課題では、第1に後期高齢期・超高齢期における社会関係の変化、および社会参加活動の維持・変動の様態を捉えること、次に社会関係、社会参加とともに地域のソーシャル・キャピタルや近隣の社会的環境(社会的包摂性など)、物理的環境(アクセシビリティなど)も視野に入れ、それら心理社会的変数・地域変数が高齢者の幸福感や心身の健康・寿命に与える影響とそのメカニズムの解明に取り組んだ。5年間にわたり、約1年半ごとに後期高齢者(年齢:75歳、80歳、85歳;計1388名)を対象にした縦断調査(第1波~第3波)を実施するとともに、半構造化面接法による質的調査を実施した。本年度は縦断調査を実施するとともに、質的・量的データの解析を総合的に進めた。1)近隣と付き合いがあり、コンパニオンシップがあると幸福感が高まる傾向が示された。2)近隣住民とのコンパニオンシップは高齢になるほど、また自立度に制限がある高齢者ほど低くなる一方、自立度に制限がある高齢者ほど近隣の人とのコンパニオンシップと幸福感の正の相関が大きく関連性が強まることが示された。3)縦断データ解析から、近隣のネットワークが減少する高齢者がいる一方で、後期高齢期にもネットワークが増加する者もいた。4)増加には個人の性格特性(外向性)とともに良好な社会的環境やコミュニティ感覚が寄与していた。5)ソーシャル・キャピタル、社会的環境と物理的環境は幸福感の促進要因となるとともに、社会的環境と物理的環境は社会参加活動を媒介して認知機能を維持する要因となることが示唆された。さらに、この関係性は身体機能低群と高群で比較すると身体機能低下群でより強く認めれた。6)アクセシビリティの良さは幸福感にも健康にも重要であることが示された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
「これからのコミュニティ施策の基本的考え方」(川崎市平成31(2019)年3月http://www.city.kawasaki.jp/templates/press/250/0000105475.html)の策定において、本研究課題の成果の一部が取り上げられた。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
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http://psylab.hc.keio.ac.jp/staff/www_takayama/chouju/index.html