研究課題/領域番号 |
26310109
|
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
鈴木 七美 国立民族学博物館, 研究戦略センター, 教授 (80298744)
|
研究分担者 |
山田 千香子 長崎県立大学, 経済学部, 教授 (30311252)
|
研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2017-03-31
|
キーワード | 少子高齢社会 / エイジ・フレンドリー・コミュニティ / エイジング・イン・プレイス / ライフロング・ラーニング / 世代間関係 / 地域文化資源 / インターディペンデント |
研究実績の概要 |
エイジング研究と社会的包摂に関連し、高齢者のニーズに応える環境形成はすべての世代の人々が暮らしやすい環境に繋がるという「エイジ・フレンドリー・コミュニティ」構想の動向に関する情報を収集・整理し、この視点に関わる調査研究を進め成果を公開した。 1)国際共同研究者のフィールド(米国)におけるエイジ・フレンドリー環境に関する比較調査、高齢者の自宅居住/継続ケア退職者コミュニティ(CCRC)居住の調査など、国内外にて調査を遂行した。 2)高齢化社会に関する実践的研究において注目されている「エイジ・フレンドリー・コミュニティ」というタームについて、日本文化人類学会において検討した。アメリカ老年学会第68回年次大会(米国・オーランド、2015年11月20日)において、東日本震災後の高齢者の生活支援に関し、5年間継続してきた実践者との共同研究成果を発信した。応用人類学会第76回年次大会(SfAA2016)(カナダ・バンク―バー、2016年3月31日)のシンポジウムにおいて、高齢者研究における現場実践者と文化人類学研究者の協働の意義について検討した。文化人類学の現代的な効用を学生や一般市民に発信する日本文化人類学会主催公開シンポジウム「人類学的想像力の効用」(金沢市しいのき迎賓館 11月8日)において、高齢者の生活支援と想像力に関わる発表(招待講演)を行った。 3)研究成果を国立民族学博物館において来館者と共有する目的で、公開国際セミナーを2回、公開研究セミナーを1回開催した。 4)高齢者の生活に関する文化人類学、社会学、福祉政策学の学際的研究成果の公開として、2014年に企画開催した高齢者の住環境開発に関する人間文化研究機構シンポジウム「高齢期の多様な住まい方とウェルビーイング」(イイノホール(東京) 2014年3月8日)の成果をまとめ、人間文化研究機構のウエブサイトで広く一般に発信した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に記載したとおり、研究計画を達成し、さらに、研究集会等に参加した実績を有する新たな研究協力者の協力も含め、研究内容の深化を行うことができた。 1)「エイジ・フレンドリー・コミュニティ」に関わる国際比較調査――研究課題の共有:国際比較調査として、地方都市を対象としてエイジング・イン・プレイス(住み慣れた所、あるいは住むことを希望する場所やコミュニティで住み続けること)を支える拠点と活動について米国にて共同調査を実施し、地域資源を活用した「エイジ・フレンドリー・コミュニティ」創出と共有地(コモンズ)をめぐる課題をより明確に提示する方向性を共有した。 2)国立民族学博物館にて開催した公開国際セミナー(2回)、公開研究セミナー(1回)をとおして、国際共同研究者、高齢者生活支援実践者、そして看取りや養生に関する研究者との連携を深めた。 3)招待講演を含め広く一般と研究者に研究成果を発信し、最終年度に向けて豊かなフィードバックを得た。 4)日本薬学会のホームページや人間文化研究機構のウエブなどを通して、予想以上に広く一般および文化人類学領域以外の研究者に研究成果と情報を開示することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
1.「エイジ・フレンドリー・コミュニティ」に関わる補足調査・比較調査:平成27年度までに行った現地調査を基盤として、国内外にて地域資源を生かして住民が進めてきた、高齢者が加わる生活・就業の協働について、情報を収集し調査を遂行する。2.研究経過と課題の発信―研究集会参加・開催:研究集会における発表:応用人類学会年次大会(SfAA: Society for Applied Anthopology バンクーバー)や国際都市居住性推進会議(IMCL: International Making Cities Livable conference ローマ)において、研究成果を広く発信し議論を深める。研究経過及び成果を公開・共有する目的で、地域資源を生かしたコミュニティ構想と関わる国際比較をテーマとして、研究者を招聘し研究集会を開催する。3.1) 国際共同研究における議論を生かし、エイジ・フレンドリー・コミュニティに関する英文書籍の企画に参加し出版する。2) 国内に広く成果を発信する目的で、認知症者への支援活動に関わるエイジ・フレンドリー・コミュニティに関する日本語論考を発表する。4.研究経過と課題の発信―ホームページ、リポジトリ等の活用:本研究の経過について、国立民族学博物館および人間文化研究機構のホームページ、リポジトリ等で広く情報を発信する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
論考の英文校閲、および資料整理について検討した結果、2016年度に収集予定の情報・資料の内容を加えたものについて実施することがより適切であると判断した。
|
次年度使用額の使用計画 |
2016年度に資料・情報収集した内容を加えた論考を整備し、資料整理に際し必要な文具を購入する。
|