研究課題/領域番号 |
26310203
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
尾畑 伸明 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (10169360)
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研究分担者 |
長谷川 雄央 茨城大学, 理学部, 准教授 (10528425)
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研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2017-03-31
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キーワード | ネットワーク / 関数解析 / 確率論 / 量子確率解析 / スペクトル解析 / 量子ウォーク / ランダムウォーク / 直交多項式 |
研究実績の概要 |
古典および量子確率解析・微分方程式・グラフ理論などの数学理論をネットワーク数理の要として、物理学・情報科学におけるモデル解析・数値計算、生命系・社会系を含む応用系における現象分析を一貫するような数理体系の構築が目標である。そのため、様々なバックグラウンドをもつネットワーク研究者との研究交流を推進して研究課題の整理を行う。今年度は、若手研究者を中心とした「複雑ネットワークウィンターセッション2016」(茨城大学、2016年3月)を開催した。また、数値計算や応用系に明るい研究補助者を雇用して、共同研究の幅を広げる模索をしている。 1.ネットワーク構造 ネットワークのもつ階層構造・積構造・モチーフに注目した接続構造などが主要なテーマである。グラフのメラン積を導入して、確率分布のメラン積との直接関連させ、2次元格子における道の数え上げを楕円積分で記述した[論文投稿中]。辞書式順序積・ストロング積について、隣接行列のスペクトル分布を求める公式を得た[論文発表・学会発表]。2変数直交多項式による量子分解法については継続的に検討中である。 2.ネットワーク上のダイナミクス ネットワーク上の拡散過程・パーコレーション・振動子系・量子ウォークの統計的性質をネットワークスペクトルの立場から再構築することを目指している。ケーリーツリー上の臨界相におけるパーコレーションに対してクラスターサイズの統計を明らかにし、また複数の感染源をもつ感染症モデルにおける感染爆発のメカニズムを数値シミュレーションを援用して解析した[論文発表・学会発表]。 3.ネットワークの制御 ネットワークの頑健性の数理を目標にしている。感染症モデルに対して、統計物理的アプローチや数値シミュレーションを継続して、モデルによらない取り扱いを模索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)今年度当初より、あらたに研究補助者を雇用することができたため、前年度に滞っていた応用数学関係の研究交流が進展した。 (2)若手研究者を中心に60名の参加を得て「複雑ネットワークウィンターセッション」を開催して、研究課題の整理が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続いて、若手を主体とした研究集会を開催して研究交流を促進する。分野横断的なテーマに関して、ネットワーク数理における位置づけを明確にしながら、課題の整理を継続する。現在準備中の研究分担者との共著本を年度中に発刊することを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に計上していた研究補助者のための経費が、補助者の採用が遅れたことで次年度に繰り越されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に引き続いて、研究補助者を雇用する経費に充当する。
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