研究課題/領域番号 |
26310204
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 久美子 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00585979)
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研究分担者 |
池田 一穂 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (20642565)
岡田 康志 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, チームリーダー (50272430)
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研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2018-03-31
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キーワード | 生物物理 |
研究実績の概要 |
真核細胞内では、細胞小器官はモータータンパク質キネシン、ダイニンによって輸送される。細胞小器官は様々な物質を含んでおり、細胞小器官の輸送によって生命活動の維持に必要な物質が細胞の隅々に行き渡る。細胞小器官にはミトコンドリア、メラニン色素顆粒、シナプス小胞などを含み、細胞小器官の輸送のメカニズム解明は医療や美容分野にとっても重要である。本研究では、非平衡確率過程模型の恒等式を細胞小器官の運動の解析に応用する事を目指している。
H27年度は、ゼブラフィッシュの色素細胞内のメラノソーム輸送について進展があった。魚類は環境に応じて体表の色を変化させるが、この変化は色素細胞内のメラノソームがモータータンパク質に輸送され凝集または拡散することで生じる。この輸送に関連して、メラノソームが何個のモーターによって協同的に輸送されているか、を問題にした。ゼブラフィッシュのウロコから色素細胞を採取し、培養した。ホルモンを添加することで人工的にメラノソームを凝集させた。凝集時のメラノソームの運動を明視野観察で高速に録画し、運動のゆらぎを正確に測定することに成功した。このようにして得られたメラノソームのタイムコースを非平衡確率過程模型の恒等式を利用して解析した。この解析より、1つのメラノソームを輸送するモーターの力を測定することが可能になり、力分布から1つのメラノソームが複数のモータータンパク質に輸送されていることが示唆された。今後は力-速度関係から輸送メカニズムの詳細を調べたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経細胞のエンドソーム輸送の実験が終了し、次に、医学的に重要なシナプス小胞前駆体輸送を調べ始めた。エンドソーム輸送に関する結果をまとめ、論文準備中である。美容分野と関連深いメラニン色素顆粒輸送についても、順調に結果が出始めている。
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今後の研究の推進方策 |
容分野と関連深いメラニン色素胞輸送について、本年度論文にまとめることを目指し、結果を出す。メラニン色素顆粒輸送を担うモータータンパク質ダイニンに作用するシリオブレビンは、ダイニンのアデノシン三リン酸加水分解を阻害するが、本研究ではシリオブレビン添加時のメラニン色素顆粒輸送について調べる。
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