研究課題/領域番号 |
26310205
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西浦 廉政 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (00131277)
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研究分担者 |
平岡 裕章 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (10432709)
平田 秋彦 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (90350488)
中村 壮伸 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (10642324)
齊藤 国靖 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (10775753)
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研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2018-03-31
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キーワード | 計算ホモロジー / マルチスケール / 自己組織化 / アモルファス / ソフトセラミックス / ナノ微粒子 / ミクロ相分離 |
研究実績の概要 |
1.ガラスを含むアモルファスとは何かに対する数学的記述子の開発に関してパーシステントダイアグラム(PD)を適用することにより,その中距離構造を含む階層構造に着目することにより明らかにすることができその結果をPNASに出版することができた.実際ガラスのPDのサポートの次元が0,1,2 に応じて結晶,ガラス,液体の3状態が識別され,サポート次元はガラス転移を幾何学的に説明する秩序変数と言えることがわかった.またPDの生成元を指定した際,その生成元を構成している原子の集まりを再現することが可能,すなわち生成元についての逆問題を解くこともできた.これによりPDの中で興味ある構造が同定された折に,具体的にその特徴を生み出す原子配置を特定することが可能となった.これは最終年度における材料デザインに逆問題を活用する重要な第一歩である.またこの手法は金属ガラスを含むランダムパッキング系に対しても,PDからそのガラス状態の特徴付けが可能となった. 2.ソフトセラミクスの基礎方程式については,新たな分担者の齊藤により,粉体系の粒子ー粒子相互作用を再検討することで,シアーをかけた時の,バンド構造やクラスター構造の時間的遷移について考察するための多分散系の計算コードを作成した.これにより最終年度に向けての準備を整えることができた.とくに粒径が小さいものの役割を解明するためのデータを得ることができると期待される. 3.3次元ナノスケールポリマー微粒子系の形態形成について,その数理モデル化および形態制御を担うパラメータの同定ができた.ソフトセラミックスにおいて重要なナノスケール微粒子はその表面積の占める大きさから,バルクでの性質とは大きく異なる微粒子内でのミクロ相分離をすることが実験的に知られている.それを実現する連立Cahn-Hilliard型を提案し,これをSoft Matterに発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガラスを含むアモルファスとは何かに対する数学的記述子の開発に成功し,PNASに発刊できたことは大きい成果であった.ソフトセラミクスの多分散系シミュレーションコードの開発も一定の目処が立った.またナノ微粒子内のミクロ相分離ダイナミクスについてもその数理モデル作成と3次元形態形成制御に関して成果を得,Soft Matterに発表できた.
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今後の研究の推進方策 |
アモルファス等の非晶質系の時空間での形態遷移は材料科学として重要な課題であり,また数学的にも挑戦的な課題である.時間も含めた広い空間へのパーシステントダイアグラム(PD)の拡張は容易ではないが,それを目標としつつ,アモルファス物質の構造解析を行う.ソフトセラミクスに関しては,流れの効果については,今後の課題となっている.流れが与えられたとして微粒子のダイナミクスを考察するより単純な系を第一段階として考察する予定である.ナノサイズ微粒子内でのミクロ相分離のモデル化を用いて,熱的変化を加えた時の3次元形態遷移の問題は,表面効果が大きなナノサイズ微粒子のダイナミクスを考える上で示唆的であるので,継続して考察する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新たな分担者の齊藤氏は粉体ダイナミクスの専門家であり,かつH29年度が最終年度のため,粉体的扱いと流れの相互作用についてのワークショップおよび外国からの招聘による情報収集を企画していたが,所属機関である WPI-AIMRがWPIとしての活動がH28度で最終年度であることと重なり,日程調整が不成功に終わったため.
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次年度使用額の使用計画 |
粉体的扱いと流れの相互作用についての小規模ワークショップ開催 または代表者または分担者齊藤氏による直接の情報収集に使用する.
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