研究課題/領域番号 |
26310209
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中根 和昭 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10298804)
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研究分担者 |
木田 勝之 富山大学, 工学部 機械知能システム工学科, 教授 (00271031)
瀧山 晃弘 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00374520)
真原 仁 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00589830)
末松 信彦 明治大学, 総合数理学部現象数理学科, 講師 (80542274)
稲垣 忍 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90151571)
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研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2017-03-31
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キーワード | ホモロジー / 組織画像 / 画像解析 |
研究実績の概要 |
本研究はホモロジーを応用した画像解析技術を提案して、実際に有意義な結果を出すことを主な目的としている。特に癌組織の画像解析技術において、分化度の分類が可能となった(特願2015-141673)。これは、二値化パラメータを変化させることで、ベッチ数の変化を読み取る。この変化は組織構成要素間の接触の強さを表している。このため、接触の程度が強い=高分化(基底膜内でのがん細胞の成長)、接触の程度が低い=中・低分化(基底膜が喪失しがん細胞がばらばらになる)の弁別が可能となった。これについては国際会議で発表を行い、それが論文として採択された。 皮膚組織に染み込むヒアルロン酸の状態評価(膨潤現象)についての結果が得られた。皮膚は繊維質で構成されるため、実際に皮膚下に浸透するためにはこの繊維質の中に取り込まれなければならない。これをこれまでの手段では評価できなかったのだが、本手法により可能となった。 喫煙者がなりがちな病気に肺気腫というものがある。これは、喫煙などの理由により肺胞壁がなくなってしまい、大きな空間が肺内部に生まれてしまう病気である。これまでは、CT像で空間の面積を計測していたのだが、これでは初期の状態と健康状態(小さい穴がたくさんできる)との区別がついていなかった。しかし、これらの区別がつくようになったため(投稿中)、CT像から簡便に早期診断が可能となった。金属組織への応用であるが、分担者の協力により破断面解析で有効となる『パリス則』と今回のホモロジー法での画像解析と整合性を取ることができた。これは、国際学会のベストペーパーとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの結果はそれぞれの分担者が結果を出しているため、研究は順調に進んでいると考えられる。ただし、手法が非常に新しいため、審査員が本手法の有効性を理解できないため、それぞれの分野での論文を出版するのに苦労している。しかし、イギリスの大学での追証実験も成功したため、本手法の認知度が上がれば徐々に出版しやすくなると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、イギリスのウォーリック大学とアメリカのオハイオ州立大学との連携が非常に上手く行っている。ウォーリック大学では癌組織に対して実証的な研究を共同して行うとともに他の部位に関する結果を出していきたい。またオハイオ州立大学に関しては、新たな課題を多く提案されているので、本手法の拡張例を増やしていきたい。 金属組織などに関してはこのまま継続して研究を続けて頂き、多くの実績を得る様に頑張って頂きたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
出張の予定が一度なくなりました。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に昨年度に訪れることのできなかった先生と研究連絡を行う
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