研究課題
農法モニタリング班は、聞き取り調査により労働時間、粗収益、所得等を算出し、極めて省力的な有機稲作農法により、粗収益1千万円、夫婦2人の所得6百万円を達成していたことを見出した。これには、有機農法以外に、農業機械の長期使用、消費者への直接販売、近隣農家との良好な関係も貢献していた。水稲班は、移植時期と栽植密度を変えた実験を行い、移植時期は穂数に大きな影響を与えないが、1穂モミ数は移植時期が早いほうが多く、その結果収量も高いことを見出した。また、有機継続年数が長いと、移植期にすき込まれる雑草の量が多く、そのため土壌還元が進んだ。土壌還元は、初期の水稲生育を抑制するが、本農法ではポット成苗移植によって水稲生育への影響を小さくしていると考えられた。土壌班は、雑草すき込み後の有機物分解は、湛水状態のほうが水稲生育を促進すること、表面散布雑草の湛水分解で空中窒素固定があること、若齢雑草すき込みでは乾物重は少ないが水稲初期生育阻害が少ないことを見出した。雑草生育により、春先の窒素溶脱量が裸地の1/5に抑制され、雑草が吸収した窒素は、すき込み後に水稲への窒素供給と土壌の可給態窒素の増加をもたらした。雑草制御班によると、埋土種子数と移植40日後頃の雑草個体数の比が、有機栽培年数の経過とともに1%を下回り、基盤整備4年後の圃場では、相当量のコナギ埋土種子数にも関わらず、残草がほとんど認められなくなった。また雑草生態班は、有機農法転換後数年以上経過すると、代かき直前の水田はほぼ植被で覆われるようになり、雑草埋土種子個体数と埋土種子個体数が有機農法連用年数と有意な正の相関を示した。動物班は、天敵であるアシナガグモ属や食葉性害虫の幼虫は、有機農業の継続年数が長くなるにつれて個体数が増加し、一方、吸汁性害虫であるヨコバイ類やウンカ類は、有機継続年数が長くなるにつれて個体数が減少する傾向を見出した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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