研究課題/領域番号 |
26310305
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
横沢 正幸 静岡大学, 工学部, 教授 (80354124)
|
研究分担者 |
飯泉 仁之直 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 研究員 (60616613)
櫻井 玄 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 研究員 (70452737)
|
研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2018-03-31
|
キーワード | 環境変動 / 生産性ショック / 食料供給 / 経済影響 / 貧栄養人口 |
研究実績の概要 |
本年度はこれまでに作成した広域スケールにおける作物生産性の環境応答を推計するモデルに生産された作物の市場価格を推計する経済モデルと結合して、気候変化環境ならびに各地域における土地利用変化による生産性と市場価格の変動について推計、解析を行った。 対象作物はコメ、対象地域は東南アジアを中心とした13カ国(韓国、中国、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、ラオス、タイ、インドネシア、カンボジア、インド、ベトナム、米国、EU)とした。気候変化シナリオは4とおり、気候モデルはCMIP5から5つ、土地利用変化シナリオは5とおりを利用した。合計100とおりのシナリオについて生産性と市場価格の変動を計算した。経済要因指標として、各国の農業投資額、農地開発費、期末在庫、消費量、輸出量および輸入量の時間変化を考慮した。2012年-2014年の平均値を初期値として、2035年までの期間でシミュレーションを行った。 その結果、気候変化シナリオおよび土地利用変化シナリオによる価格推移にはシナリオ間の際は見られなかった。生産性はそれぞれのシナリオに応じて国間および経年で差異はあり、収量の経年トレンドは年々変動しながら若干増加する傾向を示した。この理由は、2035年までの期間では温暖化がそれほど進んでおらず、かつRCPシナリオによる気温などの気候条件の経年変化における差異が小さいため、輸出・輸入関係によって気候環境および土地利用による市場価格の変化が吸収されたため、と考えられた。 各国の市場価格の推移の要因を経済指標と関連づけるために、両者の時間変化について市場価格を目的変数とし、経済指標を説明変数とする回帰分析を行った。ステップワイズ法によって説明変数を絞り、寄与度によって要因の重要性の順位を推計した。その結果、消費量指標が最も寄与率が高いことが推察された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作物生産性の環境応答モデルと経済モデルを結合したモデルによって気候変化ならびに経済状況変化に対する作物の生産性および市場価格の変動を推計することが可能となった。これにより異常気象あるいは社会的な状況の変化が生産性および市場価格へどのように伝播するかを解析することができる。
|
今後の研究の推進方策 |
異常気象および社会状況の変化による生産性・市場価格の変化が他産業セクターに及ぼす影響ならびに貧栄養人口に及ぼす影響を評価するスキームを考案し解析・考察を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実際に使用した消耗品費が見込みより少なかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
データ整理などに使用する消耗品の購入費に利用する。
|