研究課題
これまでに作成した広域スケールにおける作物生産性の環境応答を推計するモデルに流域水資源量を推計するモデルを結合することにより、環境変動に対する作物生産性変動を作物生産に利用可能な水資源量の変動を考慮して総合的に推計するようにできた。流域水資源はその多くは農業生産活動に利用されるが、その他、生活用水や産業にも用いられことから、環境変動に伴う利用水資源量の変動は農業生産とその他の利用との競合をもたらす可能性があり、本研究で作成した流域水資源量と作物生産性推計統合モデルによって、そのような競合状態をシミュレートすることが可能となった。さらにこの統合モデルを作物市場価格を推計する経済モデルと結合・統合することによって、環境資源の変動を通じて農業生産と人間生活ならびにその他の産業セクターとの競合状態を推計することが可能となった。この統合モデルを用いて、気候変化環境ならびに各地域における土地利用変化による生産性と市場価格の変動について解析を行った。解析対象作物はコメ、対象地域は東南アジアを中心とした。利用したシナリオは昨年度の解析に利用したものと同じである。すなわち、気候変化シナリオはRCPについて4通り、気候モデルはCMIP5から取得した5つのモデルによる出力、土地 利用変化シナリオはSSPによる5通りのシナリオを利用した。合計100通りの気候環境・土地利用シナリオについて、作物生産性、流域水資源量および市場価格の変動を計算した。シミュレーション結果、価格推移にはシナリオ間の差異は見られなかった。これは昨年度の結果と同じであった。生産性は気候変動によって水資源量が変動することにより変動が見られ、他セクターとの競合も発生したが、市場価格の変動は生産性の変動に比べて小さかった。輸出・輸入関係によって市場価格の変化が吸収されたためと考えられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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