研究課題/領域番号 |
26310309
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中塚 雅也 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40432562)
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研究分担者 |
鈴木 武志 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10321952)
内平 隆之 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (70457125)
清野 未恵子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (40570966)
星 信彦 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10209223)
山口 創 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10709281)
吉田 康子 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50582657)
高嶋 正晴 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (80364123)
青谷 実知代 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 准教授 (30564083)
伊藤 一幸 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (80355271)
丹羽 英之 京都学園大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10737612)
高田 晋史 島根大学, 生物資源科学部, 助教 (90739781)
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研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2018-03-31
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キーワード | 在来種 / 土壌分析 / ネオニコチノイド / 地域連携 / 篠山市 / 継業 / アクションリサーチ |
研究実績の概要 |
A:地域固有資源・地域ナレッジの保全と活用方法の体系化については,整理された地域固有性の概念の妥当性を高め,その経過と成果は,農村計画学会関西地区セミナーにおいて発表した。また,薦池大納言(京都府伊根町)を事例に,遺伝子型と環境との交互作用及び土壌条件との関係性の分析をすすめた。丹波黒大豆(兵庫県篠山市)の事例では,連作障害軽減手法として,地域内の散在する葛の葉やタマネギの皮の土壌投入が有効である可能性を示した。また,地域固有性は,その遺伝的資質だけでなく,人との関係性にて獲得され,保全活用の端緒も外部者との交流により進むことが実証的に明らかになった。 B:野生動物と地域社会の関係性と課題の分析については,未利用果実や放置農作物を撤去する第2回目の社会実験を行い,その社会経済的効果の分析をすすめた。一方,篠山市を事例に,6種の指標生物の分布を把握するためのアンケート調査を行い,地域固有性が残存するエリアを選定した。UAVの空撮により地域固有性が残存するエリアのオルソ画像を作成し,地域固有性が残存する要因について予備調査を行った。また,環境ストレス下で,ネオニコチノイド系農薬が,生殖や自発運動性の減少および不安様行動に影響を及ぼすことを重ねて検証し,事例地域としている篠山市での実影響の分析や規制に関する情報収集と調整をおこなった。 C:価値創造の地域協働システムのモデル確立については,放棄茶園を事例に,地域資源管理の継承のシステムに関するアクションリサーチを設定し,その事業継承フレームを提示した(兵庫県神河町)。また,地域協働システムの構築に関しては,若年世代だけでなく,シニア世代への注目の必要性を示し,大学等が中心となった育成システムの構築に関する考察をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域固有資源・地域ナレッジについて,地域固有性に関する概念整理は順調にすすみ,学会セミナーでの発表もおこなった。農家への個別訪問調査および植物調査については,対象地区を絞り込むことにより,調査をすすめることができている。ただし,新たな地域固有の種子については発見できておらず,調査体制を再整備,強化しておこなう。顕在化している固有種を対象とした調査分析により,地域固有種と土地(土壌など)の関係性については一定の知見を得られており,総合的には順調に調査すすんでいる。 野生動物と地域社会の関係性については,猿害対策に関する社会実験を継続実施し,経年的にデータを蓄積できている。被害構造の分析については,利害関係が錯綜することから調査協力が得にくいという点が問題となっているが,野生動物被害に限定しない方向性を目指すことで,支障なく目的が達成できる見込みである。一方で,新たに,GISやUAVを活用することにより,地域情報の総合的な整理を進めることが出来ている。社会経済的な評価については,若干の遅れはあるものの,基礎的な住民アンケートを実施するなど,問題なく進展している。 地域協働システムのモデル確立については,国内の人材育成に関する事例調査をおこなった。また兵庫県立大学と神戸大学では,継承システムの構築にむけたアクションリサーチをすすめなど,おおむね順調である。また,地域活動の評価指標の開発もすすめ,人材育成,地域活動の推進のための理論的フレームを計画通り提示することが出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画にそって研究を推進する。地域固有性については,新たな固有種といえる種の発見とその存在分布の関係性の解明のための調査を強化するとともに,継続して,社会科学的な概念と,自然科学的側面からの特性の融合を強く意識した整理をすすめる。野生動物との社会の関係性については,獣害に限定せず,野生動物の生息実態および農薬散布などの環境負荷活動の実態と,住民意識の関係性について分析をすすめる。地域協働システム・人材育成に関しては,海外大学(タイなど)との情報共有,知識移転もおこなうとともに,篠山市,姫路市などと連携したアクションリサーチを重ねる。なお,書籍化による成果の公表を目指し,中間報告書を作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたアンケート調査を,行政の協力により低負担でおこなうことができた。また,2〜3月に予定していた調査のいくらかが,調査対象者との調整になかで,次年度に繰り越すこととなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
フィールド調査を積極的におこなうとともに,比較的規模の大きなアンケート調査をおこなう。調査用に必要な備品の購入をすすめ,研究計画にそって適切に執行していくこととする。
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