研究課題/領域番号 |
26310310
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
三浦 猛 愛媛大学, 南予水産研究センター, 教授 (00261339)
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研究分担者 |
三浦 智恵美 広島工業大学, 環境学部, 教授 (90518002)
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研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2018-03-31
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キーワード | 昆虫 / 動物性タンパク / 機能性物質 / 免疫賦活化物質 / 多糖 / マイクロアレイ / 免疫抑制物質 / 魚類養殖 |
研究実績の概要 |
(1)カイコサナギに含まれる免疫賦活化物質の単離同定を試みた。その結果、カイコ免疫賦活化物質は分子量115万の酸性多糖であることが明らかとなった。 シルクロース給餌したメダカにエドワジェラ症の原因菌であるEdwasiera tardaを浸漬により強制感染し、シルクロースのメダカに対する耐病性効果を確認した。その結果、シルクロースの給餌により生残率が有意に向上した。供試魚の腎臓の感染率を調べたところ、対照群では全ての供試魚でEdwasiera tardaの感染が確認されたが、シルクロース投与群では、87.5%の供試魚で感染が確認されなかった。以上より、シルクロースは、マダイのみならず、メダカにおいてもエドワジェラ症の防御に有効であることが明らかになった。 昨年行ったシルクロースの投与の有無によるメダカを用いたDNAマイクロアレイのうち、腸管を用いた結果を解析したところ、全36398プローブのうち2930プローブがシルクロースの有無で発現が変動し、そのうち836遺伝子の発現が増加し、2094遺伝子の遺伝子の発現が減少した。これらには、獲得免疫、自然免疫および細胞間結合等、動物の免疫に関わる遺伝子が多数含まれていた。 (2)免疫系を低減する物質の単離同定を試みた。カイコサナギよりマウスのマクロファージ細胞を用いたNO活性を指標に、同物質の単離を行い、得られた物質の構造を、核磁気共鳴法により解析したところ、同物質はカテコールであることが明らかとなった。また、カイコサナギからカテコールを取る方法を考案した。 (3)ブリ幼魚にシルクロースを添加した飼料を給餌し、ストレスの状況をストレス耐性を示す指標として次亜塩素酸消去能およびストレス状態を示す指標として血中コルチゾル量を測定したところ、シルクロースはモジャコにストレス耐性を付与し、低ストレス状態に保つ作用があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予想していなかった免疫抑制物質の存在を明らかにし、その物質の単離同定に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に開始した一部の実験が、年度を超えてしまったため、次年度使用額が生じた。また、次年度実証試験を行う際に、出荷サイズのマダイおよびブリを試験を依頼した生産者から買い取る必要があるが、近年養殖魚の魚価が、研究を計画した時よりも上昇しているため、次年度に基金を繰越した。
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次年度使用額の使用計画 |
年度を超えて行っている実験を継続する。また、実証試験を行い、試験に使用した養殖魚を科学的な解析に必要な量の買い取りを行う。
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