研究課題
水分含有量の高い有機性廃棄物のリサイクル・ループ構築の要は、発酵消化液の浄化処理から液肥利用への転換であり、そのための根幹となる技術開発は消化液の濃縮である。そこで、最終年度は、これまでの成果を踏まえ、消化液からの肥料成分の分離・濃縮回収のための実験と理論計算を行った。その結果、いくつかの手法を組み合わせることにより、消化液から窒素、リン酸、カリウムの肥料成分が分離回収でき、さらに窒素は70倍程度、リン酸は30倍程度、カリウムは15倍程度にまで濃縮が可能であることが明らかになった。残された課題としては、より費用対効果の高い濃縮水準の決定や濃縮装置の効率化等が挙げられる。他方、海外調査も行った。韓国においては、「家畜ふん尿の管理・利用に関する法律(2006)」の成立により、家畜ふん尿の対処は、処理から利用へと大きく方向転換し、高温好機性発酵による液肥利用の技術開発が進んできた。そこで、韓国済州島の大型液肥センターを事例に、液肥散布日誌から詳細な散布実態を分析したところ、散布効率の悪い圃場への液肥移動や散布量の過不足などが見られた。今後は、液肥濃縮を含め、これらの問題を解消しうる堆液肥の効率的サプライチェーン構築に向けた研究が必要と考える。また、米国調査においては、水耕栽培が有機農業として認められているかどうか、また家畜ふん尿物由来の液肥が有機資材として認可されているかどうかに関して、現状を生産者および事業者からヒアリングした。暫定的な結論としては、上記に関してはいずれも現段階では認められていないと考えられるものの、これらは団体や州毎の相違が存在する可能性があるため、引き続き調査が必要であ。なお、海外調査は現状での検討結果であるが、消化液からの肥料成分の分離濃縮回収が可能になると、そこで議論された内容も大きく変化すると予想される。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
Bull Environ Contami Toxicol
巻: - ページ: 1,7
10.1016/j.chemosphere.2017.02.054
Journal of Material Cycles and Waste Management
巻: - ページ: 1,9
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