研究課題/領域番号 |
26310316
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
林 清忠 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター環境情報基盤研究領域, 主席研究員 (40355475)
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研究分担者 |
齋藤 雅典 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40355079)
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研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2019-03-31
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キーワード | ライフサイクルアセスメント(LCA) / データベース / 食品サプライチェーン / シナリオ分析 / 国際研究者交流(アジア) |
研究実績の概要 |
水稲を中心とした農業生産のインベントリデータ構築に関する前年度の取組みを継続した。海外共同研究者とともに開催したワークショップにおいて、生産費統計等を用いた作成方法によっては作物栽培技術が適切にモデル化できないこと、また実際の栽培シナリオに基づいて作成する方法に可能性があることが示された。紅河デルタおよびメコンデルタ(ベトナム)、西ジャワ(インドネシア)、ルソン島(フィリピン)における水稲作等のインベントリデータを作成した。また、農業投入財については、インドネシア(国営企業傘下の5事業会社)およびベトナム(1社)における肥料製造プロセスを取り上げ、尿素製造、アンモニア製造等のユニットプロセスデータを作成した。 本年度は、新たに副産物・廃棄物利用のインベントリに関する検討を開始した。東南アジア諸国におけるバイオマス資源の賦存状況は日本とは著しく異なるため、まず、フィリピン(ルソン島San Jose市)における籾殻ガス化発電プラントの現地調査を行った。同市の精米業者から持ち込まれた籾殻が1日当たり300~350t処理され、発電された電力12MWのうち、プラント運転分を除いた10MWが売電されていた。保管期間中の籾殻の劣化による廃棄が少なくなく、また焼却灰は廃棄物として処理されていることも明らかとなった。また、東南アジア地域の現状調査から、重要な未利用資源として、マレーシアおよびインドネシアのオイルパームトランクの存在が浮上し、次年度以降にパームオイル生産における多財産出過程として取り上げる必要性が示された。 影響評価手法については、現地における農業の実態を踏まえ、地球温暖化(温室効果ガス排出量)以外にどのような評価項目(影響領域)が必要とされるかを検討した。その結果、生物多様性への影響等、土地利用および土地利用変化を評価することの重要性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、(1)耕種部門を中心としたインベントリデータの構築、(2)インベントリの拡張と評価方法の開発、(3)フードサプライチェーンのシナリオ分析という3つのステップに沿って推進する計画である。平成27年度は、(1)および年度後半から(2)に取り組み、①エネルギー、一般工業製品等のLCIの精査、②投入財に関する文献・現地調査とLCIの構築、③水稲を中心とした農業生産のLCI構築、⑤LCIにおける農業生産からの直接排出の精査、⑥副産物・廃棄物利用のLCI構築、⑨影響評価手法の開発の6つの研究項目を検討することとしていた(丸付数字は研究項目番号を示す)。「研究実績の概要」の個所で説明したように、各研究項目の進捗状況はほぼ予定通りであり、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
第1ステップである耕種部門を中心としたライフサイクルインベントリ(LCI)データの構築には、来年度(平成28年度)まで取り組むことを予定している。平成28年度は第1ステップおよび第2ステップ(インベントリの拡張と評価方法の開発)を実施する予定であり、平成29年度からは第3ステップ(フードサプライチェーンのシナリオ分析)に取り組む予定である。 今後とも対象地域における生物資源の特徴を考慮した上で研究を推進する計画であり、対象品目に関しては、水稲に加え、東南アジアにおいて特徴的なオイルパーム等に関わる農産物や副産物等を検討する。データの収集に当たっては、海外共同研究者との連携を密にしながら実施する。 また、第3ステップにおけるシナリオ分析がより有意義になるように、日本および対象地域における社会情勢等を引き続き注視しつつ分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額493,685円は、研究費を効率的に使用して発生した残額である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、次年度に請求する研究費とあわせて、調査旅費の一部として研究計画遂行のために使用する。
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