研究課題/領域番号 |
26310316
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
林 清忠 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 主席研究員 (40355475)
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研究分担者 |
齋藤 雅典 東北大学, 農学研究科, 学術研究員 (40355079)
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研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2019-03-31
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キーワード | ライフサイクルアセスメント(LCA) / データベース / 食品サプライチェーン / シナリオ分析 / 国際研究者交流(アジア) |
研究実績の概要 |
平成29年度は、インベントリの拡張と評価方法の開発(第2ステップ)ならびにフードサプライチェーンのシナリオ分析(第3ステップ)に取り組んだ。 まず、インベントリに関しては、農業投入財に関するインベントリの拡張の一環として、インドネシアにおいてオイルパーム生産に用いられている化学肥料製造に関する調査等を行い、肥料製造業者ごとにインベントリを作成した。また、共同研究先であるインドネシアオイルパーム研究所が運営するプランテーションの実績データを再収集し、インベントリデータの整合性を高めた。さらに、ベトナムおよびフィリピンにおいて、海外共同研究者の協力により、現地における生産シナリオに即したインベントリの作成を行った。 影響評価手法に関しては、生物多様性等の検討を継続した。地域(WWFのエコリージョン)と土地利用類型を指定することにより生物多様性への影響を評価する方法(UNEP/SETACライフサイクルイニシアティブが推奨する方法)を引き続き取り上げ、実際の圃場における種多様性との対応関係等を検討するとともに、その政策上の含意を示した。 シナリオ分析に関しては、まず、インドネシアにおけるオイルパーム生産のLCAにおける土地利用変化シナリオを検討し、これまでのインベントリの作成方法が必ずしも実態と整合的ではないことを明らかにした。また、これまでのオイルパームのLCAにおいては、肥料成分ごとの排出係数等を用いる場合が多かったが、肥料製造業者ごとに作成したインベントリを用いたLCAを実施することにより、化学肥料の使用シナリオが分析結果に与える影響を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、(1)耕種部門を中心としたインベントリデータの構築、(2)インベントリの拡張と評価方法の開発、(3)フードサプライチェーンのシナリオ分析という3つのステップに沿って推進する計画である。平成29年度は、このうちの(2)および(3)に取り組み、該当するインベントリデータの拡張と影響評価手法の開発、ならびにシナリオ分析を行うこととしていた。「研究実績の概要」の個所で説明したように、各研究項目の進捗状況はほぼ予定通りであり、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
コメ、オイルパーム等のアジア地域における重要な農産物に関するインベントリデータ、肥料等の投入財に関するインベントリデータ等(これまでの研究蓄積)を活用することにより、フードサプライチェーンのシナリオ分析を継続する。その際には、LCAをベースとし、シナリオ分析を加えることによって、アジア地域において今後起きると予想される社会的変化が、環境にどのような影響を与えるかを検討する。生産場面の検討に加え、これまでに収集した食品輸送に関するデータを活用し、食品流通過程を考慮した分析を行う。 影響評価に関しては、地域特性を考慮した評価を行うため、地球温暖化に加え、生物多様性、富栄養化等の影響領域に関する検討を継続する。 さらには、海外共同研究者との情報交換等を継続し、インベントリ分析、影響評価、さらにはシナリオ分析の深化に努める。また、現地調査や共同研究者の招聘により、データ収集と解析を行う。得られた成果については、国際会議等での公表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額513,787円は、研究費を効率的に使用して発生した残額である。 次年度使用額は、次年度に請求する研究費とあわせて、調査旅費ならびに海外研究協力者招聘費の一部として研究計画遂行のために使用する。
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