研究課題/領域番号 |
26330001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水木 敬明 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 准教授 (90323089)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 暗号系 |
研究実績の概要 |
カードベース暗号とは,トランプカードのような物理的なカード組を用いて,安全な計算を身近で手軽に実現するものであり,本研究では,既存の成果をさらに学理的に進展させ,安全な計算を効率的に実現する汎用的手法や本質的限界を解明するとともに,人間フレンドリーな分かり易いプロトコルの開発を追及している。また,カードベース暗号が一般市民にも理解が容易であるという特徴を活かし,誰でも心の底から「安全を実感」できる暗号技術の研究開発へ,知見を応用することを目指している。 当該年度は,まず前年度に得られていた成果について,任意の3変数関数を計算するカードベースプロトコルをIEICE Trans. Fundamentals誌に掲載し,4変数以上のすべての関数に対応した汎用的なプロトコル構成法を国際会議TAMC 2015において公表し,不動点を持たない置換を生成する効率的なプロトコルを国際会議UCNC 2015にて公表した。次に,近年注目されている「変則的なシャッフル」の本質的な限界を探るべくそれを用いた新しいカードベース暗号を考案し,既存プロトコルより優れたAND計算やコピープロトコルを構成するとともに,変則シャッフルの具体的な実現方法も与え,その成果を国際会議TPNC 2015において公表した。また,偏光板カードを用いたプロトコルを国際会議IWSEC 2015,回転カードを用いたプロトコルをProvSec 2015においてそれぞれ公表している。さらに,カードベース暗号に適したカード組を実際に作成し,オープンキャンパスや高校での出前授業において開発したプロトコルを一般市民の方々に試してもらい,カードベース暗号の普及・発展に努めている。加えて,電子情報通信学会Fundamentals Review誌から依頼を受け,「カード組を用いた秘密計算」という解説記事を掲載している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究目的、すなわちカードベース暗号の発展について、当初の計画通りに進めることができたと判断されるため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を踏まえつつ、当初の計画に従い、本研究を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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