研究課題
カードベース暗号とは,トランプカードのような物理的なカード組を用いて,秘密計算を身近で手軽に実現するものであり,本研究では,既存の成果をさらに学理的に進展させ,秘密計算を効率的に実現する汎用的手法や本質的限界を解明するとともに,人間フレンドリーな分かり易いプロトコルの開発を追及している。最終年度は,まず多入力のAND秘密計算を実現する効率的なプロトコルを開発し,その成果をTheoretical Computer Science誌に掲載した。次に,市販トランプカードを用いた秘密計算に関する成果を国際会議CANS 2016において公表し,ランダム二等分割カットの実装法について国際会議TPNC 2016において公表し,2ビット出力関数を秘密計算するためのカード枚数に関する必要十分条件を国際会議Mycrypt 2016にて公表した。また,前年度に引き続き,偏光板カードを用いたプロトコルに関して研究を進め成果をIEICE Trans. Fundamentals誌に掲載し,変則的なシャッフルについての新たな成果を国際会議AsiaPKC 2016等において公表した。更に,カードベース暗号の計算モデルに関するサーベイと汎用的な枠組みの確立を与える招待論文をIEICE Trans. Fundamentals誌に掲載している。加えて,東北大学全学教育科目・基礎ゼミにおいて「カード組を用いた暗号プロトコル」というテーマで授業を行い,人間フレンドリーな研究成果の教育への応用も意欲的に進めている。研究期間全体を通じて,積極的な成果の公表や,解説論文・招待論文の執筆等により,カードベース暗号の分野に参入する研究者がここ数年間で急増しており,暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS)においてカードプロトコルのセッションが組まれる等,研究課題名「カードベース暗号の発展」の通り,分野の発展を牽引した。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
IEICE Trans. Fundamentals
巻: E100-A ページ: 3-11
10.1587/transfun.E100.A.3
Mycrypt 2016, Lecture Notes in Computer Science
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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Theoretical Computer Science
巻: 622 ページ: 34-44
10.1016/j.tcs.2016.01.039
巻: E99-A ページ: 1122-1131
10.1587/transfun.E99.A.1122
CANS 2016, Lecture Notes in Computer Science
巻: 10052 ページ: 484-499
10.1007/978-3-319-48965-0_29
TPNC 2016, Lecture Notes in Computer Science
巻: 10071 ページ: 58-69
10.1007/978-3-319-49001-4_5