研究実績の概要 |
種々のタイリング上のセルオートマトンの信号の伝搬に関して、コロナと呼ばれる操作を考える。初期タイルを0-コロナとし、k-コロナは(k-1)-コロナと境界を共有するタイルとして再帰的に定義される。k-コロナは初期タイルからkステップで到達できるタイルになり、コロナはそのタイリング上のムーア近傍のセルオートマトン上の信号の最大の伝搬速度を規定する。タイルの近傍を変更しても、例えばノイマン近傍にしても同様にコロナ(エッジコロナ)を定義できる。kを無限大にした時のコロナの形状(コロナ極限)は一般に収束するとは限らないが、ペンローズタイルには、正しくタイルできた場合には直線をなす5組の平行な直線群があり、それら直線群がなす10角形にそってセルオートマトンの信号が伝搬することを用いて、コロナ極限が正10角形に漸近することを証明した結果をAUTOMATA 2016において発表した。さらに、コロナ極限の存在条件を求め、周期タイリングでは点対称凸多面体に収束することを示した。さらに、周期タイリングの場合にコロナ極限を求めるアルゴリズムを示し、それを用いて、正多角形タイルのみによる一様な周期タイリングで1-, 2-regular な場合についてコロナとエッジコロナとをすべて計算した。その結果、4, 6, 8, 10, 12, 16角形のコロナ極限が存在することがわかった。以上の結果をまとめた論文を投稿準備中である。 さらに、ペンローズタイリング上の近傍半径の大きなセルオートマトンの高速化のための手法を考案した。上述の直線群に沿って5組のリボンと呼ばれる構造が存在するが、そのうちの2組に着目しセル空間を掃引する。その時、近傍の大きさに合わせてリボン上のセルから周辺のセル配置をテーブルに保存することで総和型と呼ばれる規則を持つセルオートマトンを高速実行する。現在、学会発表のための準備中である。
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