研究課題/領域番号 |
26330019
|
研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
真鍋 義文 工学院大学, 情報学部, 教授 (80466408)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 公平分割 / ゲーム理論 / ケーキ分割 / 暗号プロトコル / オンラインアルゴリズム |
研究実績の概要 |
1.セキュリティを考慮した公平分割に関し、以下の結果を得た。暗号を利用したセキュアオークションプロトコルを使用することにより、ナイフ移動法による単純公平性を満足するケーキ分割プロトコルとほぼ同様の分割結果を、インターネットなどの参加者の同時性が確保できない状況下においても、非同期に実行できることを明らかにした。このプロトコルは、単純公平性を満足する他の非同期プロトコルと比べて、得られる分割結果の社会的効用が高いことをシミュレーションにより示した。この内容について論文誌に採録決定となった。 2.対象とする財がケーキのような任意の地点で分割可能なものではない、遺産相続時の不動産の分割などの、分割不可能な複数の財を公平に分割する手法について考察を行った。達成するべき公平性を、各参加者の獲得する価値の最小値の最大化とした場合に、最小値を求める問題はNP困難であるため、近似アルゴリズムの考察を行った。複数の近似アルゴリズムを考案し、シミュレーション結果より、底上げアルゴリズムが最もよい近似解を得ることを示した。この内容について学会発表を行った。 3.時間に関する公平分割問題として、会議室の貸し出しなどの時間ユニットの公平な割り当て問題を考察した。この問題についての既存研究は、貸出時間を任意に分割可能であるという仮定をおいていたが、この仮定は学校の教室など、時間がユニット単位になっている場合には適用不可能である。時間がユニット単位になっている場合の公平割り当て問題に関して、2つのプロトコルを得た。各参加者に平均的に割り当てを行った場合に発生する端数をランダムに割り当てることにより、無羨望性は達成されないがパレート最適性は達成されるプロトコル、および、端数を誰にも割り当てないことにより、パレート最適性は達成されないが無羨望性は達成されるプロトコルである。この内容について学会発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文誌採録決定1件、学会発表2件という成果を得ているため。
|
今後の研究の推進方策 |
オンラインの公平分割問題に関し、達成するべき評価尺度を明らかにする。また、ネットワーク利用などの他分野の問題に関して公平分割の考えを適用できないか考察してゆく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
複数の学会発表を同一の会議で行ったため、今年度旅費が予定より少なくなった。また、シミュレーション実行のための計算機購入を次年度に行うこととしたため今年度支出額は予定より少なくなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
来年度はシミュレーション実行のための計算機購入、学会発表を予定通りに実施するため今年度分を合わせた額を支出予定である。
|