研究課題
平成28年度はこれまでに確立したMapReduce理論モデルのもとで,計算限界の解明をめざした.これまでに行った(a)従来のモデルと並列アルゴリズムの整理と検討,(b)MapReduceモデルの確立,(c)MapReduceの計算限界の解明,(d)ビッグデータの特徴と耐故障性計算とモデルとの関係を念頭に置きながら,MapReduce理論モデルにおける計算限界を明らかに,並列計算機の理論モデルにおける従来未解決であった問題を一部分解決した.前年度の結果を拡張し,組合せ回路で効率よく計算できる問題のクラスとMapReduceモデルにおいて定数ラウンドで実現できる問題のクラスを検討し,多項式サイズで段数O(logn)の組合せ回路で実現できる問題のクラスがMapReduceモデルにおいて定数ラウンドで実現できることを示した.ここで用いた手法は汎用性があり,さらなる計算限界の解明に役立つものである.また,並列計算機の理論モデルであるPRAM(Parallel Random Access Machine)において,これまで未解決であったEREW-PRAMとCREW-PRAMの関係を明らかにした.さらに,これまでに示したMapReduceを分散環境で実現する場合の基礎的な考察をさらに進めて,分散計算における能力の限界を明らかにし,分散計算における新たな故障を考慮した場合の計算能力や自己安定性に関する結果も導いた.
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Stabilization, Safety, and Security of Distributed Systems, LNCS
巻: 10083 ページ: 94-108
10.1007/978-3-319-49259-9_8