1 多項式最適化問題に対する半正定値計画の応用に関し、問題が必要な条件を満たさずに手法自体が精確な計算のもとでは最適値に収束しないにもかかわらず、計算機を用いて誤差を含んだ計算を行うと最適値が得られる現象に対して、理論的な説明を与えることができた。この結果はまさに当初の研究目的(の一部)を達成するものである。研究結果は国際学術論文誌に掲載された。 2 錐線形計画のサブクラスである2次錐計画問題および半正定値計画問題における弱実行不能という退化現象に関して、新しい理論的知見を与えた。特に、許容性問題の新しい分解法を提案し、これにより、元問題の許容性判定をより小さな許容性問題に落とし込むことに成功した。これらの結果は2本の国際学術論文誌に掲載された。また、日本オペレーションズ・リサーチ学会の論文賞をいただいた。 3 博士後期課程の学生を指導して、以下の研究を行なった;ネットワークにおいて、混雑度を最小化するルーティングを求める問題において、錐線形計画を用いたロバスト最適化の手法を適用することを提案した。今までにない楕円型の不確実性集合を用いることを提案し、そのモデルの性質を理論と数値実験の両方から議論した。この研究成果は IEICE ジャーナルに採録され、学生は2017年度にこの研究を元に博士の学位を取得した。 4 2017年度予算は5月に、前年度までの成果を5月の SIAM Conference on Optimization 17 にて発表することに用いた。
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