研究課題/領域番号 |
26330029
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
福嶋 雅夫 南山大学, 理工学部, 教授 (30089114)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 最適化 / 均衡問題 / 変分不等式 / 相補性問題 |
研究実績の概要 |
変分不等式(variational inequality)は経済,交通,ゲーム理論,ファイナンス,力学などさまざまな分野に現れる均衡問題の数理モデルとして重要な役割を果たしている.本研究の目的は,特に相補性問題,最適化問題,ゲーム理論における問題などを含む,変分不等式と密接に関連した諸問題に対する実用的な手法を開発することにより,変分不等式の応用領域の拡大に寄与することである.平成27年度に得た研究成果は以下のとおりである. 1.固有値相補性問題を拡張した一般的な閉凸錐上の2次固有値相補性問題に対して,問題を定義する行列の対称性を仮定しない一般的な場合において解の存在を保証する新しい十分条件を与えた.次に,行列が対称である場合を取り扱い,2次固有値相補性問題をある種の最適化問題に変換したうえで,特に閉凸錐が2次錐である場合に対して,スペクトル射影勾配法と呼ばれる新しい数値解法を提案し,数値実験によりその有効性を確認した. 2.複数のリーダー(先手プレイヤー)と呼ばれるプレイヤーがフォロワー(後手プレイヤー)の最適応答を考慮しつつ,各自の最適化を図る非協力ゲームであるマルチ・リーダー・フォロワー・ゲームに対して,連続的最適化の視点から,問題を取り扱う方法の枠組み議論した. 3.非線形2次錐計画問題に対して2乗スラック変数を導入することにより,通常の非線形計画問題に変換して取り扱う方法を開発した.この方法を用いれば,2次錐計画問題を取り扱うための特殊な技法を必要とせず,通常の非線形計画問題に対するさまざまな方法が適用可能となり,実用的な利点は大きいと期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
はじめに研究目的にあげた各項目について,それぞれ国際学術論文誌あるいは国際会議で発表することができ,目標はおおむね達成された.特に,固有値相補性問題については,海外の共同研究者との連携のもと,順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
これまで研究が順調に進捗しているため,当初の計画に大きな変更はない.特に固有値相補性問題に関する研究については,効果的に機能している海外の共同研究者との連携をより一層強化し,推進していきたいと考えている.また,最適化問題やゲームなどの均衡問題に対しても成果をあげるよう努めていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた人件費・謝金を使用しなくても研究の遂行が可能となったため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度において人件費・謝金として適正に使用する.
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