研究課題/領域番号 |
26330037
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
手良向 聡 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20359798)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ベイズ流統計学 / 臨床試験デザイン / 中間モニタリング / 標本サイズ再設定 |
研究実績の概要 |
近年、医療分野では遺伝子診断の普及、分子標的治療の開発などにより、疾患概念の細分化が進んでいる。これにより、臨床試験を実施する際に、対象となる被験者数が限られるために、統計学的評価が困難になるという状況が生まれ、今後その傾向はますます高まると推察される。ベイズ流統計学(Bayesian Statistics)は、様々な分野において利用されているが、臨床試験分野での普及はそれほど進んでいない。特に近年、個別化医療の時代を迎え、患者が遺伝子情報などで選別され小規模な臨床試験が増加する傾向にある中で、臨床試験の計画・解析・解釈に頻度流統計学に代わるベイズ流統計学を一貫して適用していくことは、医療分野における意思決定方式にも影響を与える重要な研究と考える。本研究の目的は、ベイズ流統計学の利点を生かして、疾患データベース等を活用しながら、対象数の限られた疾患に対する小規模臨床試験の新規統計的デザインを開発することである。平成26年度は、がんの第II相試験でよく用いられる安全性モニタリングを伴う単群試験(2値評価項目)について、PSSD(Predictive Sample size Selection Design)-計画段階で2つの標本サイズを設定し、臨床試験の中間段階で、ベイズ流予測確率に基づいて、その後の標本サイズを選択する適応的デザイン(adaptive design)-を拡張したデザインを考案し、医学統計学の専門誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度の計画の1つ(PSSDの安全性モニタリングを伴う単群試験(2値評価項目)への拡張)は達成したが、もう1つ(PSSDのランダム化多群試験(2値評価項目)への拡張)は未着手であり、平成27年度に持ち越すこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、PSSDのランダム化多群試験(2値評価項目)への拡張に着手する。また、可能であれば、他の評価項目(時間イベント評価項目)に拡張する。さらに、ベイズ流臨床試験デザインの有用性を示すために、実際の臨床試験への適用を積極的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属の異動などがあり、本研究に十分な時間を割くことが困難な状況となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
学会出張などで最新の情報を収集し、研究を推進し、論文の執筆を行う。
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