研究実績の概要 |
初年(H26年度)では, (1)複数仮説を伴う臨床試験のデザインと解析について, これまでの結果を報告することに加えて, 最新の研究の状況を確認し, とり組むべき内容とその方向性を改めて確認した.また, (2)予測バイオマーカに基づくEnrichment集団を対象とする臨床試験のデザインについても.これまでの研究の結果を改めて点検したうえで, 主として残された課題と方法の拡張に関する理論的研究を行った. H26年度の具体的な研究内容と研究体制は以下のとおりであった. (1) 複数仮説を伴う臨床試験のデザインと解析[濱﨑(主)・杉本(副)・寒水] (1a)正規指標と事象時間指標が混在する場合の方法の検討,(1b)評価項目間の相関の不確実性を考慮する方法の検討,(1c)準競合リスクの問題を扱うための方法の拡張にとり組くんだ. . (2)予測バイオマーカに基づくEnrichment集団を対象とする臨床試験のデザインと解析[濱﨑(主)・寒水(副)]: (2a)これまでに提案された予測バイオマーカに基づくEnrichment集団を対象とする臨床試験のデザインと解析方法を通常の臨床試験との対比で捉え直し, 実際場面での適用可能性にする問題を整理した. 併せて(2b)予測バオマーカの誤分類に基づく効果推定の問題を検討した.
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今後の研究の推進方策 |
先に示した全体計画に基づき, とくに実地での適用拡大と方法論の標準化の二つに重点をおきながら, H26年度からの研究を発展・拡大させる. 研究代表者・分担者は年度末にそれぞれの結果をもち寄って議論し課題・問題点を整理し, そのうえで総合的な評価を試みる. また, その段階で進捗状況を整理し, 進展が著しい, または進展がとくに期待されるか, または他の領域に大きい影響を及ぼすと考えられる研究箇所は適宜に役割分担を追加もしくは入れ替えといった調整を行うことを前提として, 昨年度末に,研究計画・方法を見直し H27年度では, H26年度で得られた理論的研究の継続, およびH28年度での実践的研究の準備として, 応用的研究を中心に行なうことした. このとき, (1)では, 複数指標の問題のなかでの, (1d)複数仮説(優越性・非劣性仮説)との組み合わせ, (1e)3群以上の比較での標本サイズの設定の問題を検討する. また, (1f)仮説領域に対する制約の緩和を検討する. (2)では, (2c)実際には陽性患者と陰性患者での実質的に効果の差がないような状況でのEnrichment集団のみに基づく治療効果の推定の問題を吟味する.
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