研究課題/領域番号 |
26330038
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
濱崎 俊光 大阪大学, 国際医工情報センター, 招へい教授 (40379243)
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研究分担者 |
杉本 知之 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (70324829)
寒水 孝司 東京理科大学, 工学部第一部経営工学科, 准教授 (80408723)
高橋 佳苗 大阪大学, 医学部附属病院, 研究員 (80726761) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医薬品開発 / 臨床試験 / 多重エンドポイント / 群逐次デザイン / 多重性 |
研究実績の概要 |
事象時間データにおいて,例えば死亡を先に観測すれば関心のあるその他の事象を観測できないような,致死的な事象が他方の事象を打ち切る関係にあるエンドポイント(準競合リスク)の問題に対する,試験デザインの方法を検討した.これまでの研究では,二つのエンドポイントのいずれについても統計的有意性を検証するIntersection-Union検定の問題のみを扱ったが,これに加えて二つのエンドポイントのいずれかについて統計的有意性を検証するUnion-Intersection検定の問題を,とくに日常的に用いられるBonferroni調整に焦点をあてて検討した.これらの成果を国際学会等で発表した.連続データと2値データの場合については,短期追跡で十分なエンドポイント(短期追跡エンドポイント)と長期的追跡が必要なエンドポント(長期追跡エンドポイント)が混在する場合の試験デザインとして,群逐次デザインの活用を検討した.このとき,群逐次デザインの枠組みにおいて,短期追跡エンドポイントについて試験進捗の初期で解析を実施し,長期追跡エンドポイントについては,試験進捗の後期で解析を実施できるようなエンドポイント間で異なる回数の解析や異なる時点での解析の実施を可能とする柔軟性の高いデザインを検討した.これらの成果を学会誌などで公表した.この考え方を,侵襲性の高いエンドポイントと侵襲性の比較的低いエンドポイントが混在する場合に応用した.これより侵襲性の高いエンドポイントを測定を途中で止めることにより,試験参加者への負担を軽減することが可能になる.以上の検討より,試験のサイズを結果として小さくしたり,試験期間を短くすることが可能となるような効率的で生産性の高い試験デザインを設計する基盤を構築することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に目標に掲げた事項をほぼ達成できた.得られた成果は国際学会や国際学術誌で公表し,情報発信につとめた.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を改めて評価したうえで残された課題・問題点を整理する.進捗状況を整理し, 進展が著しい, または進展がとくに期待されるか, または他の領域に大きい影響を及ぼすと考えられる研究箇所は適宜に役割分担を追加もしくは入れ替えといった調整を行う.最終年度のH28年度では, 試験の効率性と生産性を高める手段として, 「群逐次試験・適応的デザインへの拡張」を試みる. ここでは試験途中での評価指標の変更と選択, 試験仮説の変更, 標本サイズの再設定などの可能性を頻度流接近法の枠組みで検討する. 加えて, 頻度流接近法をBayes流接近法との対比で改めて捉え直し, これらの方法論の接合をはかる.これまでに得られた結果が実質科学の諸領域で実際に適用されることで意義をもつことから,AIDS/HIV,循環器疾患,がんなどの臨床試験への適用を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
計画通りにほぼ助成金を支出したが,3月に予定していた研究打ち合わせが急きょ延期となったため,その旅費(5,620円)を翌年度に繰り越しすることとした.
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次年度使用額の使用計画 |
研究打ち合わせの日程を早期に決定し,繰り越した分を使用する.
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