研究実績の概要 |
人口との相互作用に基づく森林減少モデルについて,前後左右および斜めのメッシュとの空間相関係数を伴う,簡便で高速な推定手法(Pseudo-Maximum Likelihood Estimation: PML法)を昨年度開発した。この手法を評価するには,本来のGauss-Newton法などによる繰返し計算による最適化手法との体系的な比較を経て,初めて実務家に提供できる。 (a)前後左右(1次隣接),(b)斜め(2次隣接),(c)1次及び2次隣接,(d)周囲すべてのメッシュとの隣接(全隣接)について,実データとの相対適合度としてAIC, BICそれぞれをもちいるため,1つのモデルについて8通りの計算が必要となった。評価の対象としたモデルは12あるため,PML法の体系的な検証のためには,合計で96通りの計算が必要となった。 暫定的な結果では,PML法による相対的適合度が最適化手法による結果と必ずしも一致しなかった。 これは,森林面積変化に対する人口の影響(N)と地形の影響(T)を同じ空間的影響を持つものとしてモデル化したことが理由である可能性が高く,このため,すべてのケースに関して96*2=192とおりの計算を必要としていて,この計算はいまだに終了していない。ちなみに対象となる統計モデルにもよるが,初期値を慎重に設定して,1モデルの最適化計算が終了するには,1~2時間を要する。 このため,論文に投稿ができていない。網羅的な計算結果が出次第,多くの環境研究実務家が購読しているScience of the Total Environment(Elsevier)などの国際学会誌に投稿したい。 なお,別予算での渡航であるが,2017年3月22日イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校にて講演を行ったところ,先方の博士後期課程学生,若手スタッフなどと本研究テーマに関して活発な討論を行った。
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