研究課題
インフルエンザのサーベイランスデータを1999年から2017年度に亘って収集し、報告患者数の増加傾向を統計的に明らかにした。この研究はインフルエンザワクチン接種データとともに比較検討した結果であり、ワクチンの接種量は1999年から2008年にかけて、およそ150万回接種から2200万回接種に飛躍的に増加し、その後は2500万回接種で安定的に実施されてきた。そのような背景に照らして、インフルエンザ患者データを1999年から2008年と2009年から2017年度に2分割して、それぞれ増加傾向の傾向性検定を行った結果、非常に強い有意な結果を得た。インフルエンザ患者の報告数は1999年に現在のサーベイランスシステムが確立されて以来、1999年がおよそ84万人であったものが、最近5年は患者数が定常的におよそ150万人で、特に2017年はおよそ208万人になっている。2017年の報告患者数は2009年の新型インフルエンザパンデミック時の216万人に匹敵し、感染現象を深く考究する必要性が示唆される。このことは日本におけるワクチンの有効性(efficacy)と効果性(effectiveness)の再検討の必要性が強く求められ、同時に報告患者数増加がワクチン接種そのものから来る可能性も今後の研究課題として残される。インフルエンザの感染現象は他の呼吸器系の感染症との干渉も考えられ、新型インフルエンザ流行時ではRSウイルス感染症との世界的に干渉が報告された。本邦ではその干渉と報告患者数を2006年から追跡した結果、RSウイルス感染症でも報告患者数の増加傾向が示された。これらの結果は非常に意味の深いものであり、今後の研究課題として重要なものである。以上のように長期のサーベイランスデータの解析結果を研究成果は統計解析法の研究成果と合わせて、研究発表をめざし論文執筆中である。
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Statistics and Applications
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