研究課題
欠損値データに対する統計的推測理論の構築と検定法の開発において,特に,平均ベクトルの検定問題では,検定統計量とその分布を与えることが重要な問題である.しかしながら,一般に正確な検定統計量の分布すなわち上側パーセント点を与えることは容易ではなく,精度の良い近似上側パーセント点を与えることが重要な問題のひとつである.最終年度では,そのような問題の中で,母集団数が複数個の場合である多標本問題に対する平均ベクトルの検定統計量について,尤度比検定統計量の分布に注目して,標本数が増えるにつれてカイ2乗分布に非常に近くなる修正尤度比検定統計量の導出に成功した.また研究期間全体を通じて,平均ベクトルの検定については,母集団が一つの場合である1標本問題から始め,母集団が2つの場合である2標本問題,さらには多標本問題へと発展させ,一方,欠測パターンについては,2ステップや3ステップを含む一般の単調欠測データまで拡張した場合の検定統計量(T2乗型検定統計量や尤度比検定統計量)の導出,またその帰無分布の近似パーセント点について,いくつかの近似を提案し,モンテカルロシミュレーションにより数値的評価を行った.また,平均ベクトルと分散共分散行列の同時検定問題についても2ステップ単調欠測データの下ではあるが,多標本問題にまで拡張し,尤度比検定統計量および修正尤度比検定統計量の導出とそれらの帰無分布の近似上側パーセント点を与えている.高次元データに関する成果では,大標本の下で,ユークリッド距離による判別関数を用いた判別分析における期待誤判別確率に対する近似同時信頼区間などを与えることに成功している.また,多変量正規性検定問題については欠損値データではなく完全データの下ではあるが,検定統計量の帰無分布や検出力について,いくつかの研究成果を与えている.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)
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