研究課題/領域番号 |
26330056
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研究機関 | 公益財団法人地震予知総合研究振興会 |
研究代表者 |
松浦 律子 公益財団法人地震予知総合研究振興会, その他部局等, その他 (70462934)
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研究分担者 |
岩田 貴樹 常磐大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30418991)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地震リスク / 地震ハザード |
研究実績の概要 |
昨年度データを準備できた、現在日本で地震ハザードマップとして公表されている地震動予測地図に関して2005年から30年間の予測値に対する実際のデータを対比して、予測確率が大きすぎることが検証された。この情報を用いて、ハザードを中小地震とは区分して、激甚災害に絞った関数とする作業に着手した。その中で、現在広く使われている逆ガウス分布の平均値と形状係数の設定方法を変える方法を試行した。 また、ドイツのポツダムで開催された国際地震統計ワークショップに参加して、ハザードに関する議論を行うとともに、海外におけるハザードとリスクの取り扱いなどに関する情報を収集した。また、会議前には、欧州で最も古くからウィーヘルト地震計による記録が保管されているゲッチンゲン大学に立ち寄り、日本で発生した20世紀の大地震の波形記録や古い地震カタログを閲覧して、ハザード関数の元データの精緻化のためのデータも取得した。リスクネットワーク研究会にも参加して、数理的なリスク研究の情報を収集した。 さらに、ハザード関数の元データの精緻化の一例として、元禄地震で隆起したとされる房総半島南部の海岸段丘に関する現地踏査や史料の精査、年代測定用試料の採取等フィールドワークの実施や、位置に議論がある富士川河口断層帯入山瀬断層周辺の地形面分類図の作成のため、視差の異なる写真の組み合わせから立体的な地形を計算できるソフトウェアを整備して、安政東海地震時における駿河湾最奥部の三角州地形に関する検討を実施した。その結果、激甚災害の原因となる巨大地震は、従来信じられてきたような固有地震の単純な更新過程ではなく、ある程度の規模や場所の差違をもって似たような場所で発生してきたことが明瞭となりつつある。従って地震リスクの算出には、発生時間だけでなく、空間的にもばらつきを許容したハザード関数が必要であることが判った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究分担者の就職は、大変良いことだと思っていたが、現実には教育に費やす時間が当初の見積もりより相当に大きく、研究時間を確保するのが予想より困難な状況となった。また、理論的な助言を得る予定であった椿教授が統計数理研究所を離れてAdministrative jobに占有される状況となってしまった。そのため、研究的な議論を十分に深める時間の確保が、当初の予定より減ってしまったため、効率的な研究の進展が困難となりつつあり、やや全体に遅れ気味と感じている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成28年度に、満足のいくハザード関数の創出を行うことを最優先させ、具体的な事例検討の部分を縮小することを考慮しながら、当初の目標を達成できるように、研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が参加した学会の開催が2016年4月となったため、次年度に外国出張旅費を利用することになったため平成27年度は大きな残額が生じた。また、ハザード元データの精緻化のための外注作業の発注が遅れて、納品が年度をまたぐ状況であったので、次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
4月既に分担者は予定の海外学会に参加して旅費や登録料等を支出ずみである。 また、年度当初は外注が混雑していないので、速やかに発注作業を実施する予定である。
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