研究課題
今年度は実際のマルチレベルセルフラッシュメモリで行われているマルチページプログラミングに対応した符号の検討を行った.マルチページングプログラミングとは,セルに記憶されている多値の情報を読み出す際にページ内のセルの値を上位ビットから順に値を確定させていく手法である.これまで開発した符号はセル値全体すなわち全ビットを符号化しているため,新たに符号を開発した.具体的には同一ページに属すセルの同じビット位置のビットを符号化する.さらに評価を行い,実用化の可能性を検討した.具体的には,復号語のビット誤り率,読み出し時間,メモリの寿命を導出した.その結果,2ビットセルの場合,2レベル誤りが誤りの5%を占め,3レベル以上の誤りが無視できると仮定した場合,誤り率が4%改善した.提案手法にBCH符号を用いた場合の読み出し時間のレイテンシは2.7-3.4%増加する.得られた結果を学術論文にまとめて電子情報通信学会論文誌に投稿し掲載された.また,前年度から開始した畳み込み符号の検討を引き続き行い,従来の畳み込み符号よりもより少ない検査ビットで同等の誤り訂正能力を持つ符号を開発した.得られた結果を情報理論とその応用国際会議で発表した.さらに,圧縮データの高信頼化への応用も検討し,PPMと呼ばれる圧縮法に対する高信頼化手法を開発した.本手法では圧縮データをブロックに分割して符号化するが,隣接するブロックにまたがって生じるバースト誤りも高確率で修正できる.得られた成果は電子情報通信学会ディペンダブルコンピューティング研究会で発表した.
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IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E100-A ページ: 653-662
10.1587/transfun.E100.A.653