研究課題/領域番号 |
26330062
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
本田 晋也 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (20402406)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 機能安全 / パーティショニング / 車載システム / リアルタイムOS |
研究実績の概要 |
本研究は以下の3つのサブテーマを実施する. A)高信頼組込みリアルタイムシステム向けの時間保護機能 (ST-CPU向け),B)マルチスレッドプロセッサ向けの時間保護機構(MT-CPU向け), C)高信頼組込みシステム向けパーティショニングOSの実現 平成27年度は, A)高信頼組込みリアルタイムシステム向けの時間保護機能 (ST-CPU向け),C)高信頼組込みシステム向けパーティショニングOSの実現 を実現するため,平成26年度に実現した,車載システム向けのプロセッサであるRH850プロセッサが持つ仮想化機能を使用したパーティショニングOSに対して実システムの要求を分析して,その要求を実現する機構を実現した.具体的には,高速な応答時間が必要な非信頼な割込み処理(非信頼割込み処理)と,一定時間内で一定時間確実に動作される必要がある信頼処理を両立する機構を実現した.非信頼割込み処理を実現する割込み機構としてVM-ISR1-/VM-ISR0を導入した.これらの割込み機構で実行されるハンドラは時間保護が有効となっており,設計時に設定された時間以上実行されると処理を中断する仕組みを持つ. また,B)マルチスレッドプロセッサ向けの時間保護機構(MT-CPU向け)で必要となるマルチスレッドプロセッサがリリースされなかっため,代わりにパーティショニングOSをマルチコアを対象に拡張した.平成27年度は基本的な機能を実現した. 実現した機構は車載システムでディファクトスタンダートであるAUTOSAR OSをベースとしている.そのため,既存の車載システムとの親和性が高い.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
達成度に関しては,当初計画には記載していなかったが,具体的な産業界の要求が得られたため,その要求を実現する機構の実現を優先的に進めた.結果として,実システムの要求に沿った時間保護機構が実現できた. B)マルチスレッドプロセッサ向けの時間保護機構(MT-CPU向け) に関しては,ハードウェアがリリーされなかったためパーティションOSの基本的な機能をマルチコアに拡張できており,順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,まず平成27年度に実現したVM-ISR1-/VM-ISR0機構に関して他の機構と比較評価を行い提案手法の優位性を確認する.パーティションOSのマルチコア拡張に関しては,マルチコアで必要となるタイムウィンドウ間の同期機構やコア間の排他制御機構について検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度で当初予定であったマルチスレッドプロセッサが販売されず購入しなかったため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度も予定を変更してマルチスレッドの代わりにマルチコアを対象に進めるため,マルチコアの環境を追加で購入するために使用する.
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