研究課題/領域番号 |
26330066
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
宋 天 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (10380130)
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研究分担者 |
島本 隆 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20170962)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | HEVC / SVC / Inter-layer coding |
研究実績の概要 |
本研究提案する符号化構造は、高い符号化効率を維持すると同時に並列処理により高速演算を実現できるため、高解像度アプリケーションのリアルタイム符号化に最適である。また、先行研究によりその優れた性能で確立した「時間領域の相関性を利用した空間的な予測」手法を本研究に活用できるため、符号化効率の更なる向上が確信できる。本研究の目的は、スケーラビリティを実現する高性能な動画像符号化アルゴリズムを新規開発し、符号化効率を大幅に向上する。更に、全体の処理を並列処理可能とした新たな処理構造を提案し、実装の容易化を図る。 一年間の研究を行い、前処理と本処理の分割法について、既に検証によりその有効性を確認し、レイヤ間の予測に使用できる予測手法について様々な手法をシミュレーションによる確認を行った。また、先行研究では、既に画面内予測、ディブロッキングフィルタ処理についてGPU実装済みであるが、画面間予測については、データの関連性における最適な予測方法について検討した。 研究は、概ね当時の予定通りに実施してきた。研究アイディアは沢山あるが、新しいアルゴリズムの検討を続けながら、まとめて行く予定である。H27年度は積極的に国際会議に参加し、情報を収集しながら、スケーラブル符号化について交流を深めた。この分野の新しい提案を吸収しながら優れたアルゴリズムを提案している。新しいスケーラブル符号化国際標準SHVCがほぼ決定しているため、提案手法と他の提案を比べても優れている手法を採用し、他の良い手法も取り入れることを考えている。また、研究成果を研究論文にまとめ、複数発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一年間の研究を行い、前処理と本処理の分割法について、既に検証によりその有効性を確認し、レイヤ間の予測に使用できる予測手法について様々な手法をシミュレーションによる確認を行った。また、先行研究では、既に画面内予測、ディブロッキングフィルタ処理についてGPU実装済みであるが、画面間予測については、データの関連性における最適な予測方法について検討した。概ね当時の予定通りに実施してきた。研究成果を研究論文にまとめ、複数発表した。具体的完成したことは以下のようになる。 1.前処理部の最適符号化パラメータの抽出。まず、ベース・レイヤの前処理部により正確な動きベクトル情報、エッジ情報、および画面内の相関性について数値化し、評価する。その評価結果により得られた最適なパラメータを用い、ベース・レイヤの本処理部が高速に符号化を行うことが可能となる。前処理部に採用する手法は、すべてデータの関連性が少なく、並列処理に適するアルゴリズムとなっている。 2.レイヤ間の前処理予測。ベース・レイヤとエンハンスメント・レイヤは解像度が異なるが、参照可能な情報が多く存在する。更に、高解像度になるほどベース・レイヤの情報を利用できる確率が高いことより、ベース・レイヤの前処理で得られた情報をエンハンスメント・レイヤに有効利用できると考える。本研究は、ベース・レイヤの画像の質を評価し、ベース・レイヤの信頼度により異なる情報の利用法を提案し、低演算量かつ高符号化効率を実現した。 3.エンハンスメント・レイヤの本処理においてのパラメータの予測手法。エンハンスメント・レイヤの本処理に、従来使用されているベース・レイヤの情報のみならず、エンハンスメント・レイヤの前処理により得られた情報も参照する。空間領域と時間領域の予測を同時に使用することにより、より高い予測性能を実現した。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度では、すでに得た有効なアルゴリズムをまとめる。さらに先行研究の結果との組み合わせによる最適符号化手法の検討を行う。本研究は、時間領域と空間領域の予測を組み合わせ、12個の予測探索中心から動き探索を並列に行う。探索中心点の数が増えているが、新たに提案した「波紋探索法」により探索の早期終了が可能であるため、従来のH.264/AVCと同等な演算量で最大19%、平均11%のビット削減を達成できる。前処理において、この手法を採用し、高い並列処理度と符号化効率を実現する。この手法と画面内予測、ディブロッキング・フィルタ処理を組み合わせ、その性能を評価する。各手法のパラメータを最適化するための実験が多くあるため、様々なシミュレーションを行い、次世代の標準に提案できる最適な手法をまとめることを目標にする。 2年間の研究成果をまとめ、提案アルゴリズムの並列処理実装に向けた研究を行う。NVIDIA社の開発環境である「CUDA」を用いて、提案手法を実装する。全処理と本処理の分離により、GPUによる実装の場合の高速性能を評価する。また、現在提案している画面内予測、画面間予測、およびディブロッキングフィルタ処理の全てがブロック単位の並列処理が可能であるため、GPUによる実装を行い、その高速化性能を検証する。 画面内予測とディブロッキングフィルタ処理については、既にHEVCの参照ソフトウェアをベースに検証済むであるが、画面間予測を改良し、HEVCの参照ソフトウェアに実装する。先行研究でも画面間予測の並列処理を試みたが、ブロック単位の並列処理を実現したものの、高速化性能が予想を下回り、更なる改善が必要となる。その原因を分析した結果、GPUの性能を十分引き出すためにフレームメモリのアクセス手法を改良する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
基本的に予定通りに実施しましたが、投稿論文の掲載料の支払が完了していないため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初予定していた大量のシミュレーションを予定通りに実施しましたが、モニタの数が少ないので、研究中不便を感じており、モニタを新たに購入する予定である。 また、論文掲載料が発生しているので、4月に支払いが完了する予定である。 また、最終年度で複数の国際会議に出席し、研究発表を行う予定である。
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