研究課題/領域番号 |
26330072
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
笹尾 勤 明治大学, 理工学部, 教授 (20112013)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際研究者交流、米国 / 線形関数 / 関数分解 / ルータ / CAM(連想メモリ) / インデックス生成関数 / パターンマッチング / 書き換え可能回路 |
研究実績の概要 |
連想メモリ(Content Addressable Memory:CAM)は、インターネットのルータ、パターンマッチング、コンピュータのキャッシュメモリ等で広く用いられている。CAMを用いると高速にパターンマッチングを実行可能であるが、CAMは高価であり消費電力も大きい。CAMの機能をモデル化したものがインデックス生成関数である。申請者は、インデックス生成関数を汎用メモリと僅かなハードウエアを用いて実現する方法(IGU)を開発した。IGUを用いると、従来実現が困難であった大規模なCAMを、安価な汎用メモリを用いて実現できる。しかし、IGUの内容を高速に変更する方法は、知られていなかった。本研究は、1個あるいは複数個のIGUを用いて大規模な連想メモリを高速に更新する方法を開発する。本年度の主要成果は以下の通りである。1.インデックス生成関数に関する解説論文が、海外の論文誌(Journal of Multiple-Valued Logic and Soft Computing.)に掲載された。2.TCAMの面積を削減する高速なアルゴリズムが論文誌(IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics.)に掲載された。3.インデックス生成関数を表現するための変数削減法が論文誌(IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics)に採択された。4.複数のIGUを用いてIPv6用のルータを実現する方法が論文誌(IEICE Trans. Inf. and Syst.)に採録された。5.Zero-Suppressed Decision Diagram に関する単行本が米国から出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IGUの高速書き換え方法に関しては、既に国内特許を出願済みであり、現在、海外特許の出願のための準備を行っている。このため、更新方法の学会発表は控えているが、着実に成果が得られている。また、企業と共同で実用製品を開発する予定である。今期は、単行本1冊、査読付き雑誌論文10編、査読付き国際会議6編を公表しており、情報発信は十分と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
IPv6用のルータの開発は、愛媛大学および企業と共同で行った。 今後は、ルータの他にキャッシュメモリ等の応用にも研究を広げる予定である。 研究手法としては、1)ランダムなデータに対して:回路のモデル化を行い、確率計算を行うことにより性能評価を行う。2)実用データに対して:高性能のワークステーションを用いたシミュレーションを行ない、実用性の検証を行う。を考えている。この評価で良い結果が得られれば、さらに大きな補助金を申請して、企業と共同で実用システムを開発する予定である。本研究に関して、国内・国外から招待講演の依頼が来ており、これらの広報活動により、共同研究者の増強や応用分野の拡張を狙う。海外から共同研究者を招聘し、理論的な研究を続ける予定である。IGUの設計法としてBDDやZDDを用いた方法の他にSATソルバーを用いた方法について開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、特許を申請したため、学会発表などを最小限に控えた。そのため、旅費に余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度は、特許申請済みの箇所に関して、学会発表を行うので、余分の旅費が必要である。
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