研究課題/領域番号 |
26330086
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
門田 暁人 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80311786)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ソフトウェア工学 / ソフトウェア品質保証 / ソフトウェアテスト / ソフトウェアバグ予測 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
バグ予測にはある程度の誤差が含まれることが避けられないことから,バグ予測を行わない場合のテストケース配分方法(戦略1と呼ぶ)について検討し,前年度に開発したバグ予測に基づくテストケース配分方法(戦略2と呼ぶ)との組み合わせ戦略(戦略3と呼ぶ)を提案するとともに,その効果について評価を行った.戦略1では,全てのモジュールのバグ密度の期待値は等しいと仮定する.この仮定のもとでの最適なテストケース配分は,全モジュールのテストケース密度を等しくすることである.戦略3では,総テストケースのうちある割合(mとする)については戦略1を採用し,残りの(1-m)のテストケースについては戦略2を採用する.最適なmの値は実験により与えるものとする. テストケース割り当てのシミュレーションを行うツールおよび環境を構築し,3つのソフトウェアを対象として,戦略1,2,3の効果を比較した.その結果,いずれのソフトウェア,および,いずれのmを与えた場合においても,戦略間のバグ発見率の大小は,戦略2>戦略3>戦略1となった.従って,現時点では,戦略3よりも戦略2を採用すべきことが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度以降の研究実施計画として,平成26年度に開発したシミュレーションモデルと資源配分方法の解法を多数のプロジェクトデータに適用し,(1)バグ予測誤差を含むことを前提としたテスト戦略の組み合わせ方法の確立,および,(2)バグ予測が有効となるコンテキストの解明を予定していた. (1)については,テスト戦略の組み合わせ方法として戦略3を開発した.ただし,現時点では,戦略3よりも戦略2の性能がよいという結果が得られている.また,(2)についても,3つのソフトウェアを対象としたシミュレーションにおいては,バグ予測を行う戦略2は常に有効であるという結果が得られている.このことから,多くのソフトウェアにおいて戦略2が有効であることが示唆される. 以上のことから,(1)(2)のいずれについても進展しており,今後,より多くのソフトウェアを対象としたシミュレーションにより,引き続き(1)(2)を進めていくこととなる.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,引き続き(1)バグ予測誤差を含むことを前提としたテスト戦略の組み合わせ方法の確立,および,(2)バグ予測が有効となるコンテキストの解明について,より多くのソフトウェアを対象として研究を進めていく.(1)については,バグ予測を行わない新たな戦略について検討し,バグ予測を行う戦略との組み合わせ戦略を開発していく予定である.また,(2)については,より多くのソフトウェアを対象としたシミュレーションを継続していくとともに,現実のソフトウェアの実績データに対し,アンダーサンプリングを行うことでコンテキストを変化させ,バグ予測戦略を評価していく予定である.
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