研究課題/領域番号 |
26330090
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
白銀 純子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (00329161)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 要求定義 / 使用性 / ユーザインタフェース / ドキュメント |
研究実績の概要 |
真に使用性の高いユーザインタフェースを開発するために、要求定義段階から使用性を評価することを目的とし、そのために、要求定義段階のドキュメントをもとに開発されたユーザインタフェースの使用性の評価とドキュメントの改良方法を提案することを目的としている。この目的を達成するために、2014年度は、ソフトウェアにおける使用性について、具体的な要素を様々な文献やガイドライン等をもとに列挙している。そして、各要素について、要求定義段階で評価可能であるか否か、また、要求定義段階での評価が適切でない要素に関しては、開発段階のどの段階で評価可能であるか検討をしている。さらに、要求定義段階で評価可能と判断した要素に関しては、要求定義段階で作成するドキュメントのうち、どのドキュメントで記述するのが適切であるかについても検討をしている。現状では、要求仕様書とシナリオへの反映が適切であるという結論である。 この要素の検討に関しては、ドキュメントに記述された内容がどのようにユーザインタフェースに反映され、各要素がユーザインタフェースに具体的にどのように影響するかも、あわせて検討する必要があると判断したため、ドキュメントや各要素とユーザインタフェースとの対応関係に関しても検討をしている。 そして、要求定義段階で評価可能と判断した要素を、どのようにドキュメントに反映できるかを検討し、ドキュメントの記述支援システムを構築している。このシステムでは、要求仕様書とシナリオの記述ができるようにしている。要求仕様書はIEEE Std. 830-1998の書式を採用している。ドキュメントへの使用性の要素の反映方法として、既存のドキュメントの記法に基づく反映方法と、記法を拡張した反映方法を採用している。また、この記述支援システムでは、自然言語でドキュメントを記述することとしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究においては、要求定義段階で評価可能な使用性の要素と、それをどのようにドキュメントに反映させるかについて、検討を行った。しかし、使用性の要素には様々なものがあるため、今後も引き続き、検討していない要素がないかを調査し、必要に応じて、要素を追加する必要があると考えている。 また、ドキュメントの記述支援システムの構築と評価について、システムの構築を現在進めているところである。平成26年度の研究計画に関しては、この部分が遅れている。 しかし、上記の「研究実績の概要」に記述した通り、ドキュメントの内容をどのようにユーザインタフェースに反映するか、使用性の要素がどのようにユーザインタフェースに影響するかについて検討を行っている。これは、平成27年度の研究計画の一部であったが、平成26年度の研究の推進において必要と判断したため、前倒しして行った。従って、差し引き、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進については、平成26年度の研究計画の一部である、ドキュメントの記述支援システムの構築と評価が未完であるため、完了させる予定である。また、上記の「現在までの達成度」で述べた通り、平成27年度の研究計画の一部を平成26年度中に行ったため、その結果を踏まえ、平成27年度の研究計画を、計画通りに進めていく予定である。現状では、平成26年度と27年度の研究計画で、一部前後するものがあったが、それ以外の変更や課題はないものと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議への論文の投稿にあたり、論文執筆や関連作業にかかった時間と、投稿先の会議の投稿〆切日の関係により、当初予定していた英文添削を省略することとした。そのため、英文添削の謝金の支出がなくなった。また、本研究で参加した国際会議の日程と、他研究で参加した国際会議の日程が連続しており、かつどちらも地理的にも近い場所であったため、一方の国際会議が終わってからいったん帰国することなく、続けてもう一方の国際会議に参加した。2つの国際会議にかかる旅費を、本科研費と他研究での研究費で、それぞれ支出したため、結果として、特に交通費に関して、本研究で支出予定であった費用が安くなった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は前年度と同様、国際会議への参加を予定している。そのための論文添削および旅費として使用することを予定している。
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