研究課題
ソフトウェア開発で使われるソフトウェアモデルは大規模・複雑化し、また変化が常態化するため、モデルに未完成部分や未検証部分が含まれ不整合が残存する。そうした状況に対応するための近似的モデリングの検討を進めてきたが、本研究ではそれを具体的な目的に活用するために不可欠な、近似的構成論とそれに基づく新規な構成管理手法を提案・評価することを目的とし、特にソフトウェアプロダクトライン開発における製品導出を対象とし、研究を進めてきた近似的構成管理は一定の不整合の許容などのメリットがある一方、正確性などの観点からはペナルティもある。前年度までにフィーチャモデルにおける製品導出を対象に、近似的構成法を複数提案するとともに、不整合を識別するためのメトリクスを提案するなどした。今年度はこれらを踏まえ、手法の有用な活用という観点から近似的構成管理手法を発展させた。一般に要求されるフィーチャ群を含むフィーチャ構成は複数考えられるが、それらの中でより少ないフィーチャ群によって構成されるフィーチャ構成を求めることは、段階的構成などにおいて有用である。しかしながら、最も少ないフィーチャ構成を求める問題はフィーチャモデルのスライシングが必要となるが、その計算量はNP困難であり、規模の大きなフィーチャモデルでは適用が現実的ではない。そこで、フィーチャモデルを近似的にスライシングし、製品導出を行う手法を提案した。この手法では最小のフィーチャ構成を得ることは保障されないが、その計算量は多項式時間(フィーチャ数の3乗のオーダ―)であり、現実的である。シミュレーションによって提案手法を評価し、多くの場合で近似的な手法によって小さなフィーチャ構成が得られることを確認した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
知能ソフトウェア工学研究会
巻: KBSE2016-41 ページ: 13-18
ソフトウェア工学の基礎ワークショップ, FOSE2016
巻: XXIII ページ: 169-174