研究課題/領域番号 |
26330096
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
日高 宗一郎 法政大学, 情報科学部, 教授 (70321578)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 双方向変換 / グラフ変換 / 相互運用性 / トレーサビリティ / モジュラリティ |
研究実績の概要 |
あらゆる応用、変換、機構との相互運用の可能な双方向変換に向けて、28年度は以下のことに取り組んだ。 本研究課題のサブテーマの一つである枝間の順序の導入については、逆方向解釈において、昨年度の順序なしグラフの双方向変換における追跡情報に関する成果を融合させた定式化を行い、先行研究との対応付けを強化し、国際会議に投稿した。 双方向変換の相互運用に際し、効率的な相互運用には軽量な変換伝搬のための分析が不可欠である。28年度はグラフ双方向変換言語の意味に従い追跡情報の半静的解析を行うことにより、更新伝搬を逆方向解釈なしに行うことで逆方向変換を軽量化する手法を提案し、その適用条件と健全性を示し、技術報告として公表した。前述の解析は、変換が検査しない領域を特定することにより、その領域内の挿入、削除を含む任意の更新が可能であることも示すものである。 更に、サブテーマの一つである相互運用に必要なインタフェースの設計に関して、相互運用に必要なモジュラリティの基本となる、モデル変換のモジュラリティの分析の指標として加法性の概念を形式化し、二つの異なるモデル・グラフ変換言語から、文脈とモノイド、単調性を用いて加法性を系統的に抽出する方法を提案し、国際会議に投稿した。加法性はデータベース分野で研究されているquery containment の概念に関係するが、ここでは変換の間の包含関係を構文的に導出するものであり、再計算不要な部分変換の特定に役立ち、本研究課題のサブテーマの一つである、高速化のための漸進処理にも寄与する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に今後の方策として示した、本課題を基課題とする国際共同研究強化事業により変換言語レベルの相互運用、新たな相互運用可能双方向変換システムの構築などを行うことができ、更に、効率的な相互運用のための、健全な更新伝搬を逆方向解釈なしに行う手法を示すことができた。研究課題の一部であるモジュール性に関しても、加法性という指標を提案してモジュール性への応用の道筋を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
逆変換対象領域のユーザレベルでの明確化などの、双方向変換システムの利便性向上、より実用的な規模の変換への適用において、国際共同研究強化事業により得られた逆変換対象領域の分離に関する理論的枠組や、相互運用、双方向変換応用に関して得られた、加法性などの概念に関する新たな知見を反映した実現方法の研究を、当初計画していた相互運用性のための機構のモジュール化研究の一部と統合して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題を基課題とする国際共同研究強化事業により、逆変換対象領域の分離に関する理論的枠組みの構築がより一般的な形で進捗したことと、相互運用、双方向変換応用に関する知見が新たに得られたため、その成果を反映した実現方法の研究を、当初計画していた相互運用性のための機構のモジュール化研究の一部と統合して行うことで、事業目的をより精緻に達成したい。そのために補助事業期間の延長を申請し、承認された。
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次年度使用額の使用計画 |
国際会議での研究成果発表のための旅費、研究資料の購入、共同研究者との打ち合わせ費用等に充てる。
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