研究課題/領域番号 |
26330102
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
木谷 友哉 静岡大学, 情報学部, 准教授 (40418786)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高度交通システム(ITS) / 自動二輪車 / 計測技術 / 組込みシステム |
研究実績の概要 |
本研究では,二輪車を対象にして車体運動,運転者の身体運動,周囲の道路環境,それぞれを車載センサによって収集し,それらのデータを解析することでより安全な二輪車社会を築く,センシング基盤の構築についての基礎研究を行う.全研究期間では,二輪車の車載センシングシステムの設計とそれから得られるデータからの利活用可能なビッグデータ生成についての研究を行う.前者では,専用の車載センシングシステムを設計する.また,二輪車の主要市場である新興国でも利用できるようにスマートフォン内蔵のセンサなどで機能の一部を代用できるようにも考慮する.後者では,後の高度交通サービスやアプリケーション創出のために,収集した膨大な量のデータに対して位置情報などを用いて自動でラベル付けして構造化する手法を考案する. 平成27年度は,平成26年度に引続き,単独の車両に着目して,車体運動および周辺環境のセンシングを行う廉価な車載向け専用センシングシステムパッケージの開発を行った.二輪車産業関連研究者に試用してもらい,従来の高価で高精度の車体運動計測デバイスとの比較を行った.成果の一部が1本の査読付き国際論文誌に採択された.学会発表は7件行い,うち1本の査読付き国際会議録論文集,うち3本の査読なし国内学会論文集に採録された.それ以外の3回は口頭発表(予稿有り),うち1回は招待講演である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は,平成26年度に引続き,単独の車両に着目して,車体運動および周辺環境のセンシングを行う廉価な車載向け専用センシングシステムパッケージの開発を行った.二輪車産業関連研究者に試用してもらい,従来の高価で高精度の車体運動計測デバイスとの比較を行い,当研究室で開発したセンシングデバイスの利用可能性についての検証を行った.衛星測位情報と組み合わせることにより,安価な慣性運動センサの精度を大きく向上させることができた.また,そのような精度向上が図れたことにより,研究開発するデバイスをより廉価なものとの2本立てとし,内蔵するセンサ数やサンプリングレートを半減させて費用を低く抑えたデバイスも開発している.これを用いることにより,一般フィールドでのデータ取得のコストの低減が狙え,より多くのデータを収集可能となる.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,次世代の高精度衛星測位技術を導入することで,より計測精度の向上を目指す.また,特定の地域を集中して走行する自動二輪車を対象として,繰り返し同じ道路を利用する複数の自動二輪車のフィールドデータの取得を行う. 得られたセンシングデータについては,研究計画に示したとおり,どのような状況で取得されたかというラベルを付加することで,より利活用が容易となる構造化データとなる.二輪車が交通の中で置かれる状況は,交差点の直進や右左折,左右の旋回など限られており,位置情報とOpenStreetMapのような電子地図の情報を用いることで,高い精度の状況推定が自動的に行えると考えている.
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