研究課題
本研究の目的は、無線端末間の伝送路特性が無線端末の位置関係により異なることに着目することにより、無線信号をアナログレベルで利用する無線ネットワーク用セキュリティ技術を開発することである。提案技術では、メディアアクセス層の通信制御中に無線端末間の伝送路推定を行い、データメッセージを送信する際には、推定した伝送路特性に合わせてプレ等化した信号を送信する。プレ等化された信号は、正規の無線端末に到着した際に伝送路の影響を受けることにより、正しい信号に変化するため復調が可能となる。一方、正規の無線端末とは異なる位置に存在する不正端末が盗聴を試みた場合、プレ等化された信号は、所望の伝送路特性とは異なる伝送路を通過することにより、歪んだ信号として受信される。歪んだ信号を強引に復調処理した場合、ビット誤りが多数発生するため、正しいデータを取得することが困難となる。本研究では、提案方式を無線LAN規格であるIEEE 802.11aに適用した場合について、Matlabを利用したコンピュータシミュレーションによる評価を実施した。評価結果より、盗聴を試みた端末でのデータのビット誤り率は0.5となり、情報を一切取得できなくなることを確認した。また、ソフトウェア無線機器だるUSRP(Universal Software Radio Peripheral)を利用することにより、IEEE 802.11aを拡張することにより、提案方式のプレ等化処理のプロトタイプ実装を行い、、実際の無線機器を利用した場合にも、プレ等化処理が実現可能であることを明らかにした。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件)
Journal on Systemics, Cybernetics and Informatics
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International Journal of Informatics Society, vol.8, 2016.
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IEEE Transactions on Vehicular Technology
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