・「処理の多重化」における多重度と共謀に対する耐性の関係の検討 共謀する計算機集団が連続するプログラム断片を入手することを防ぐ方法として,プログラムの一部を,管理者が保有するなど,高い信頼性が確保されている計算機で処理を行う方法がある.この方法は,大量の計算機を利用する事で高いスループット性能を得るという利点と相反する面がある.今年度は,信頼できるコンピュータで実行する割合と,悪意のある計算機集団の共謀謀議に対しる体制との関係を定量的に評価した.これにより,開放型GRID利用の際の,安全性,コスト,利用可能範囲を判断する定量的な指標を示す事ができた. ・「先行処理」における暫定結果決定条件と利用計算機数の検討 異なる結果が送られる度に,新たな処理計算機を用意し,同時並行的に処理を行う事で,スループット性能を損なうことなく,処理結果の改竄に対する対策をとることができる.今年度は,悪意や故障により正しくない結果を返す計算機の存在確率や悪意を持つ計算機が共謀謀議を行う確率と,先行処理の効果,ならびに処理の隠蔽への影響との定量的関係を明らかにした.異なる結果が送られる度に,同一処理を行う計算機を増やす方法は,処理時間の増加をもたらさないものの,正しくない結果を返す計算機の増加に伴い,同一処理を行う計算機数の増加につながり,結果として,共謀謀議が行われやすくなる.今回得られた結果は,この点について,実用性,適用性の判断基準を示すものとなった.
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