研究課題/領域番号 |
26330121
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
丸山 充 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (60636489)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高精度モニタ / ストリームデータ / 4K映像 / 8K映像 / OpenFlow |
研究実績の概要 |
本研究では,広帯域ストリームデータを対象に,障害発生の問題箇所を自動的に絞り込む検査分析機能と詳細なパケットキャプチャ情報を基にポスト解析を行う機能を実現する.平成26年度は,システム全体の機能連携に向けた基本検討とリアルタイム分析処理系の拡充を目指して,具体的なアプリケーションとして、over10Gbpsの広帯域ストリームデータ伝送と,OpenFlow等のSDNで制御されたネットワーク上でのGbpsクラスのストリーム伝送における多面的な観測系を取り上げ、具体的な障害時の機能連携シナリオ等の作成を行い,システム化の検討を進めた. over10Gbpsの広帯域ストリームデータアプリケーションに関しては,H26.2の情報通信研究機構(NICT)の雪祭り実験イベントにおいて,8K超高精細映像(24Gbps)を遠隔伝送・蓄積配信するトライアルに参加する機会を得て,この中で,over10Gbps対応のトラヒックモニタのプロトタイプ装置を市販並列処理ボードの応用により開発し評価を進め対外発表に繋げた.これを発展させてパケット解析ノードの1つとして組み入れ,H27.2のNICTの雪祭りイベントの中で実験使用した.NICTのStarBED3の複数台のノードを利用し8K映像蓄積・配信機能を仮想化し,データを多地点に配信する取り組みの中で多面的なトラヒック監視を実現し,関連成果と共に報道発表した. SDNで制御されたネットワークにおける多面的な観測については,H26.11の米国で行われたSC14展示会で複数の日米間の太平洋ラインを含めて10箇所程度を多面的に観測する系を作成し,1秒程度の遅延で可視化し,1.5Gbpsのハイビジョンを非圧縮で伝送する場合の障害箇所を明らかにした.またオペレータがその結果を使ってOpenFlow制御により使用するパスを切り替える実験を行い,公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高速可視化方式の検討およびリアルタイム解析エージェントの検討の一環として, over 10Gbpsクラスのパケットモニタを題材に検討を加速する事ができた.over 10Gbpsのモニタ機材は,1)市販品があまりない,2)ジッタ等の影響を受けるためより低遅延のリアルタイム画像表示が必要,3)上位レイヤまで対応する解析ノード化には高速処理が必要,という課題があり,今回は,10Gbpsのインタフェースを複数有しカード内に36個のコアを持つ市販の並列処理ボードを利用して,40Gbpsのパケットキャプチャおよびリアルタイム可視化を行う「8Kトラヒックメータ」を作成した.キャプチャのタイムスタンプ精度を市販の測定器と比較する形で検証し,本研究のパケット解析ノードの1つとして,組み込む事とした.本装置はH26.6のInterop展示会で動態展示した他,80Gbpsのキャプチャ性能版をH27.2のNICTの雪祭りイベントで実験利用した.StarBED3上の8K仮想サーバから「うめきた」や「大手町」への多地点配信を行う実験で,多面的なトラヒック監視に利用した他,100ms程度の低遅延表示機能により,8K仮想サーバの並列送出のスケジューリングのバグの発見に繋がるなどの効用が確認できた. また,関連研究として4K非圧縮 6.4Gbpsのストリーム伝送を対象に,網トラヒックを観測し,帯域が不足した場合にパス制御により網内ノードの連携機能としてハイビジョンの1.5Gbpsへ圧縮するトランスコードを自動的に行うシステムを作成し,その結果を情処DPSWSで発表した.また発展形として,購入した「PCサーバ」に10Gbpsのトラヒック測定機能を搭載し,アウトオブバンドでのトラヒック観測で,帯域不足を瞬時に把握してパス制御に反映する実験を行い,測定と連携した伝送実験にも繋げた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,平成26年度に新規提案した事項および実験から得られた評価結果を順次,学会やネットワーク計測関係のコミュニティの会合で発表する.本研究内容は産学官の連携実験で実際のアプリケーションを使った実験で実証しながら進めているので,様々なニーズ的観点からの意見に基づき研究の方向性についても確認しながら進めたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
測定実験機材について、当初予定していた10G対応のものでは性能不足である事が分かったために、次年度予算と合わせてover 10Gbps対応のものを調達するため。
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次年度使用額の使用計画 |
測定実験機材 40G 対応 1200千円を調達予定
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