研究課題/領域番号 |
26330121
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
丸山 充 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (60636489)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高精度モニタ / ストリームデータ / 8K映像 / 4K映像 |
研究実績の概要 |
本研究では,広帯域ストリームデータを対象に,障害発生の問題箇所を自動的に絞り込む検査分析機能と詳細なパケットキャプチャ情報を基にポスト解析を行う機能を実現する.前年度から高精度測定の具体的なアプリケーションの1つとして進めた8K超高精細映像(24Gbps)を対象とした広帯域映像ストリーム伝送・蓄積配信については,内外から様々な反響があり,本研究で開発した高精度測定装置が,デバッグや評価データ収集のために活躍した.2015.6のInterop Tokyo 2015の実験においては,NICTのStarBED3を使ったマルチレート仮想サーバの伝送状況を可視化するために利用し,Best of Show Award「ShowNetデモンストレーション部門 グランプリ,サイエンス部門 審査員特別賞」の受賞に繋がった.また,2015.11のSC16や2016.2のNICT雪まつり実験においても,本研究のリアルタイム分析処理システムを利用した評価実験を進め,研究会で公表した. このような状況を踏まえて,平成27年度の目標であるポスト解析のプロトタイピングと並列手法についても,当初の目標を上回るover10Gbpsの広帯域映像ストリームを対象にした多地点のポスト解析に取り組む事で,Interopの際の8K/4Kマルチレート仮想サーバの同期配信性能やマルチキャストネットワーク制御の動作を明らかにして研究会で公表した他,ポスト解析に必要な処理量についての評価を進めた.さらに高精度ネットワーク処理ノード間でのデータ共有方式の検討・実装を行いperfSONARとの比較により処理性能の評価を進めた. また障害時の検査分析の自動化に向けて,遠隔の任意の回線を動的に選択してキャプチャデータを解析ノードに集約する手段として,市販スイッチのタッピングデータの集約機能を利用したプロトタイプの作成を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,(1)ノードの協調連携による検査分析の自動化方式,(2)伝送状況を多面的に分析しリアルタイムに可視化する機能,(3)高精度時刻情報が付与されたキャプチャデータから該当フローを抽出し相関を取る事で,時間軸での原因追究を可能とするポスト解析機能の検討である.各項目について,現状の進捗と今後の展開を整理する. (1)については,現状までに多地点で映像伝送プロトコルの解析(L7)からパケット伝送特性(L2)を解析実行し,1つの表示装置に集約し画面上に一覧の形で表示し,どの区間が障害を起こしているかを可視化できるシステムが実現できているため,今後は本システムの評価を行うと共に,本年度進めた検査対象の回線の動的選択およびキャプチャ機能を使い,検査分析の自動化および,必要な解析ノードの自動割り当てを行うプロトタイプに発展させる. (2)については,H26年度に作成した高精度ネットワーク測定装置が,8K/4K映像伝送・蓄積配信の実験においてover10Gbpsの広帯域映像の伝送状況を低遅延で可視化できる成果となった.また本年度は,処理ノード間のプロトコルの検討に向けて,高精度ネットワーク測定装置間でのデータ共有方式の提案とプロトタイプによる実装を行った.今後現状のperfSONARプロトコルとの連携を含めた定量的な評価を進める. (3)については,本年度over10Gbpsのポスト解析を実施し,多地点の高精度測定装置の膨大なキャプチャデータの処理を行うために,時間軸での相関を取りながら解析する簡易ツールを作成した.現状は1台のPCサーバのみでの処理を行っているが,今後並列計算リソースを利用した解析処理に発展させる.
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に,本研究で提案した事項および様々な実験から得られた評価結果を順次,学会や展示会等で公表する.本研究は,産学官の連携実験で実際の広帯域映像伝送アプリケーションを使った実験で実証しながら進めているので,この機会を有効に利用し,実ユーザのニーズを確認しながら研究の方向性についてフィードバックを行いながら進めていきたい.また最終年度は,これまでの知見を論文として積極的に公表する.
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備考 |
受賞2件 H27年6月Interop Tokyo 2015 Best of Show Award「ShowNetデモンストレーション部門 グランプリ」 H27年6月Interop Tokyo 2015 Best of Show Award「サイエンス部門 審査員特別賞」
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