研究課題/領域番号 |
26330122
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
巳波 弘佳 関西学院大学, 理工学部, 教授 (40351738)
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研究分担者 |
藤原 明広 福井工業大学, 工学部, 准教授 (70448687)
内田 真人 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (20419617)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大規模災害 / 電力供給 / 劣通信環境 / DTN / 配送計画 / 最適化 / アルゴリズム |
研究実績の概要 |
電力系統が断絶する大規模災害時,住宅・オフィス・公共施設・マイクログリッドなどにおいて,損傷を免れた発電・蓄電設備と,電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド自動車(PHV)のような蓄電機能を持つ移動体による電力および情報の蓄積搬送を組み合わせ,災害直後のエネルギー供給代替手段として配電網とは独立に電力需給マッチングを図る蓄積搬送型エネルギー流通方式における効率的な制御技術の確立を目的とし,電力需給マッチング・移動体経路制御アルゴリズムの設計,および現実的な状況を想定したシミュレーションによる性能評価について,研究を進めている. 検討方式の概要を述べる.まず情報についてはEpidemic Routing方式やVirtual Segment方式などの蓄積搬送型通信によって流通させ,それによって得られた情報に基づいて車両の移動経路を決定するものとする.車両は,近隣の供給可能な発電施設から電力供給を受け,電力必要施設(医療機関,避難所,介護施設など)に移動して需要量をまかなう.このとき,車両自身の移動に必要な電力を消費してもなお,電力必要施設へ電力配給できるようにしなければならないという制約条件を満たしつつ,移動距離が最小であるような経路を求める必要がある.各車両は,得られている情報に基づき,移動経路を決定する.このような蓄積搬送型電力流通方式とそのための制御アルゴリズムを設計し,実道路網トポロジを用いてシミュレーションによって性能を評価した.その結果,蓄電池容量や放電出力などの性能が良い車両を使用するよりも,多くの車両台数を使用する方が効率が良いということがわかった.さらに,兵庫県三田市を想定した現実的な状況において,すべての電力必要施設に対して一般家庭における一日の消費電力量程度の電力供給が可能であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定よりかなり早く研究が進み,既に,電力需給マッチング・移動体経路制御アルゴリズムの設計および現実的な状況を想定したシミュレーションによる性能評価を行っている.さらに,本提案方式により,兵庫県三田市を想定した現実的な状況においても最低限の電力供給が可能であることをシミュレーションにより示した.これは,提案方式が災害時のエネルギー供給として有効であることを示唆している.
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今後の研究の推進方策 |
電力需給マッチング・移動体経路制御アルゴリズムのさらなる効率化を進める.また,災害時のような劣通信環境における情報流通の性能低下を考慮したアルゴリズムの設計を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はアルゴリズム開発と理論的解析がうまく進んだため,それに集中することにし,情報収集や大規模シミュレーションなどは次年度以降に行うことにした.そのため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
移動体経路制御のための道路ネットワーク情報収集方法についても検討する.現在,上空からの無人ヘリによる情報収集方法に着目しており,これを利用した情報収集とその利用について検討を進めるため,無人ヘリやモバイル通信端末など様々な情報収集手段を購入する.また,確率的なシミュレーションも行う必要があるため,高性能のシミュレーション用PCを購入のために研究費を使用する.また,成果発表や情報収集のための旅費としても使用する.
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