平成28年度は前年度に続き、女性の装い写真を題材とした印象評価結果の順位付けに関する議論を進めた。具体的には、参加者の誰からも印象評価されていない写真の評価を自己組織化マップで推測する処理について検証を進めた。その結果、実装上の理由により推測結果にやや精度の粗い面があるにもかかわらず、推測結果自体は参加者からみて妥当なものであることがわかった。以上の結果を含め、前年度と今年度の進捗を国際会議論文として投稿し、さらにジャーナルにも投稿するための準備を進めた。本研究課題は今年度が最終年度であるが、同一データを共同研究先のシドニー大学の卒業研究生と共有することになったので、本研究課題の終了後にも引き続き共同研究を続けることになる見通しである。 また別の研究として、初期ユーザの印象にまかせて画像を加工させ、その結果を学習することで画像加工の嗜好をいくつかのパターンに分類することで、新規ユーザの画像加工の手間を軽減するシステムの開発を進めた。実際に多くの被験者を招いて実験を進めた結果、題材として用いた桜の画像に対して、初期ユーザとして参加した16名の画像加工は明確に3つのパターンに分類されることがわかった。新規ユーザにはこの3つのパターンのどれに所属するかのみを学習すれば簡単に画像加工ができるため、画像加工に慣れていないユーザにとって簡単な操作での画像一括加工が実現できる。この実験結果を国内ジャーナル論文として投稿して採択されており、その続編を国際会議に投稿している。 総じて今年度は論文業績が少なかったが、次年度にいくつかの論文を発表する体制が整ったといえる。
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