研究課題/領域番号 |
26330128
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
張 熙 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (40251706)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | フリッカー除去 / 高精細動画像 / 動画像圧縮 / ノイズ除去 / ウェーブレット縮退法 / 画質改善 / 最適閾値 / 評価基準 |
研究実績の概要 |
高精細動画像をMotion JPEG 2000という符号化方式を用いて圧縮し,フリッカー・アーティファクトが発生することが観察できた.これは,JPEG 2000で用いたウェーブレット変換がシフト不変性が欠如していることが原因と考えられる.
本研究では, このフリッカー・アーティファクトを除去するため,ウェーブレット縮退法を動画像の時間方向に適用した.また,ウェーブレット変換に本研究グループで開発したオールパスフィルタで構成された直交対称ウェーブレットフィルタバンクを用いた.このウェーブレットフィルタバンクは,IIRフィルタであるため,少ない演算量で高速に実装できる利点をもつ. また,ウェーブレット縮退法では,信号の形状を損なわず,ノイズを十分に除去するためには,適切な閾値を選択する必要がある.閾値の選択は,ノイズの大きさに緊密に関係するため,まずフリッカー・アーティファクトの強度を計測しなければならない.しかし,フリッカー・アーティファクトの強度を計測する方法と評価基準が未だ確立されておらず,動画像測定によく使われたPSNR(Peak Signal to Noise Ratio)とTI(Temporal Infomation)は,フリッカー・アーティファクトの評価基準として不十分であることを確認した.そこで,本年度では,まずフリッカー・アーティファクトの評価基準について調査を行った.また,フリッカー・アーティファクトを疑似的に作成し,この疑似フリッカー・アーティファクトの強度と閾値の関係についても調査を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度まで,研究はおおむね順調に進んでいると思います. 高精細動画像を圧縮して,フリッカー・アーティファクトが発生することが確認できた.オールパスフィルタを用いた直交対称ウェーブレットフィルタバンクを実装し,ノイズを除去できるようになった.また,フリッカー・アーティファクトを疑似的に作成し,実際のフリッカー・アーティファクトとの比較を行った.また,フリッカー・アーティファクトの評価基準についても調査を行った.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,まずフリッカー・アーティファクトの除去アルゴリズムを改善しながら,閾値の選択方法を重点に研究を進んでいく.まず,フリッカー・アーティファクトの評価基準についてさらに調査し,その基準の確立まで研究を進む.同時に,フリッカー・アーティファクトと閾値の関係についても調査を行う.疑似フリッカー・アーティファクト作成法を実際のフリッカー・アーティファクトと似せるように改善する.最終目標は,最適閾値をフリッカー・アーティファクトの強度に応じて自動的に選択することである.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の3月中旬と下旬に学会出張があり,出張旅費の事前概算と出張後の清算との間に差異が生じたためである.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額が小額のため,当初の計画の通り進む予定である.
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